と言うと、テーブルに置かれた皿をさっさと片付けだした
そして台所に行き食器を洗いながら、
「ごめんね美和、今晩こそは止めようと思ったんだけど、あのクソオヤジときたらトドのように寝転がってゴキブリ一匹も殺そうとしないもんだから、つい」
と申し訳なさそうに私を見る。
私はやれやれと苦笑いすると、リビングから出ていった。
※※※※※※※※※※
父が突然会社を辞めて、かれこれ3ヶ月になる。
このまま会社の歯車で終わりたくないという安い青春小説の主人公の捨てゼリフのような理由で、28年勤めた会社を見限ったらしい。
だが辞めてからの父は新しい職を探すわけでもなく、ただ1日中リビングのソファーでゴロゴロしていた。
本人が言うには、これは怠惰を貪っているのではなく、これからの自分の新しい生き方を練っているんだということだった。
母はそんな父の姿が耐えられないようで、事あるごとにケンカをしていた。
※※※※※※※※※※
そしてその翌朝のこと。
─キャー!
母の悲鳴が聞こえたから、何事か?と私は洗面所から出てリビングに走る。
入って左手にある台所に母はいた。
「ちょっと、あんたなにしてんの?
いい加減にしなさいよ」と俯いたまましゃべっている。
「ねえどうしたの?」と言いながら母の肩越しに目線の先を見た途端、ゾクリとした。
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