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ヒトコワ

どこかで見た話さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

松田君と俺
短編 2026/01/02 23:04 170view

ある日、俺のノートがなくなった。
探してもどこにもない。
翌日、机の中に戻っていたけど、ページの端が不自然にざらざらしていた。
めくると、ところどころの行が欠けている。
まるで誰かがそこだけちぎって食べたように。

放課後、松田の机の上に、俺のノートの紙片が落ちていた。
湿って、指にくっついた。
鼻を近づけると、少しだけ、唾液とチョークの混じった匂いがした。

俺は何も言わずにノートを閉じた。
帰り道、どうしても気になって、松田の家のほうを遠回りしてみた。

夕方、通学路の角にある古いアパート。
カーテンの隙間から、白い紙が部屋中に散らばっているのが見えた。
天井まで貼りつけられたノートの紙。
その中心で、松田が何かを食べていた。
両手で紙を丸め、ぐちゃぐちゃに噛みながら、笑っていた。

二学期になって、松田は少しやせた。
頬がこけて、目の下が黒い。
でも笑うと、歯が白く光っていた。
ある日、休み時間にそいつが俺の席に来て言った。

「このページ、おいしかったよ」

見ると、俺の国語ノートの二十ページ目を指していた。
確かに、そこは数日前に書いたところだった。
「何言ってんだよ」と言いながらページを開くと、
真ん中が丸く抜けていた。
ちょうど、文字の「私」という字を食いちぎったように。

その日から、俺の書く文字がところどころ消えるようになった。
宿題を出すと、先生に言われる。
「途中、文章が抜けてるぞ。書き忘れか?」
でも俺は確かに書いた。
書いたはずのところだけ、紙の下の層ごと薄くなっている。

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