正体は

その話を聞いた後に、友人はこっそりと教えてくれた。
「実はさ、これは、娘や妻には言ってないんだけど…
引っ越す前の部屋を見に行った時にさ、見てしまったんだよ…
排水口に溜まってる髪の毛…」
「排水口に？髪なら少しは溜まるだろ。」
「いや、少しどころじゃなかった。排水口のカバーからはみ出るくらい髪の毛が溜まってた。綺麗好きの娘があんなになるまで掃除しないはずがないんだ。それに娘の髪より長かった…その時はすごいビックリしたが、妻に気づかれないように必死に堪えた…
それに、浴室から出ようとした時…いや…」

その後の話を友人から聞くことはなかった。

友人はその後、部屋のことを調べたらしいが、あの部屋が何だったのかは未だに教えてくれない。
あの部屋で何を見て、何を知っているのか私にはわからない。

ただ一つだけ確かなことは友人と会い、一目見て思ったことは、友人の髪の毛が以前より異様に伸びてたこと。