そんなことを言って、どこかに行ってしまいました。
これが、私が彼女と話した最後の会話になりました。
その日久しぶりに、1人で夜を迎えましたが、不思議と暗闇の女は現れなかったんです。誕生日だから、気を使ってくれたのだろうかなんて、考えていました。
そして次の日の朝。
気持ち悪いくらい体調が良くて、彼女がいないことがとても寂しかった、そんな朝。
彼女とよくお話をした縁側に、1枚の手紙と、とても綺麗な桔梗の花束が置かれていました。
手紙には、こう書かれていました。
『真美子へ。
突然こんなことになってごめんね。
初めて真美子を見た時、誰かが助けてあげなきゃいけないって、直感的にそう思いました。
きっと、神様のお告げだったのでしょう。
一緒に過ごす時間が長くなっていく度に、私にとって真美子が、世界でいちばん大切な存在になっていきました。
貴方と話している時間は、私にとって、辛いことを全て忘れられる、世界で1番尊くて、大切な物でした。
1度も言えなかったけど、ここで言わせてもらいます。
本当に大好きだよ。
真美子にとっての、”1番大切な人”になれていたみたいで、良かった。
お誕生日おめでとう。これからも幸せに生きていてね。』
『代償は最も大切な人の魂です』
その手紙を読んで、あの霊媒師の言葉が脳裏に過りました。涙がにわか雨のように溢れて、嗚咽しました。
私は大馬鹿者です。
1番大切な人を失ってまで、私は生き長らえてしまいました。
あの日、わざわざ用意してくれたプレゼントに、あんな酷いこと言ってしまって、彼女を傷つけてしまいました。
その時の私には分からなかったんです。
桔梗の花言葉に、『永遠の愛』があることを。
あれは、彼女なりの、私への愛の告白だったんだと言う事を。
*
*
*
それから、私から病気と暗闇の女は消えました。
























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