信じられないような話を信じてくれて、それから毎日、夜になれば家に来て、朝が来るまで一緒にいてくれました。
ですが、彼女がいる時も、当然のように暗闇の女は現れます。
この頃になると、私は怖がって暗闇の中では動けないので、あの女の方から、私に触ってくるんです。
トントンって、嫌に冷たい指先で、私の首筋をつついてくるようになってました。
目を瞑っていても分かります。暗闇の女が私の目の前に居ること。
あの不気味なニヤケ面。私の目の前で、怖がる私を嘲笑っているんです。
彼女には暗闇の女は見えないようでしたが、持ち前の明るさと、宝石みたいな笑顔で、私のそばにいてくれました。
今思えば、彼女もきっと怖かったんだと思います。
声が震えていましたから。
あの生活は怖かったけど、悪くなかった。
彼女と過ごす夜は、暗闇の女を打ち消せるほどの眩い光でしたから。
彼女とは沢山のことを語りました。
彼女はお花が好きで花言葉を沢山知っていること、
孤児院出身で親の顔を知らないこと、
誰かに必要とされたいってずっと感じていること。
たくさん語って、たくさん笑って。時には泣いて、喧嘩して。毎日が特別な日で、彼女は友達なんて言葉じゃ測れない存在になっていきました。
家族、いや、それよりもずっとずっと大切な人でした。
私は、彼女の事が大好きになっていたんです。
ですが、いつまで経っても、暗闇の女と私の病気は消えてはくれませんでした。
病気が進行して、度々吐血してしまいましたし、
体調の悪さや、私の心の甘えから来るワガママで、彼女を困らせてしまったり、酷いことを言ってしまうことが増えてしまっていました。
申し訳ないと、心ではそう思っているのに。
決定的だったのは、私の誕生日の前日のことです。
彼女は、とても綺麗な桔梗の花を私にプレゼントしてくれたんです。
でもあの時の私は本当にどうかしていました。
心も体も、余裕が無かったんです。
「そんな花貰っても、もう何にもならないんだよ。」
そう、冷たく突き放してしまいました。
彼女は、とても悲しそうな顔をして、
「そっか、ごめんね。じゃあ真美子が本当に幸せになるプレゼントを、今から用意するね。きっと、用意できるから、待っててね。」
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。