だけど体が動かないので、手の主の姿は確認できません。私はその時だけ、体が動かない事に感謝しました。
姿は見えないけれど、その手だけは一定のリズムで、左右にゆっくりと動いています。
その揺れに合わせて、
ミャァ……ミャァ……
と、猫のぬいぐるみが鳴き続けています。
⸻
恐怖で気が狂いそうになりながら、なんとか右手を動かそうと必死に力を込めていました。
右側に寝ていたAちゃんを起こしたい…その一心で、必死にもがいていました。
どれくらいもがいていたのか、
どのくらい時間が経ったのか、永遠とも思える時間でした。
その時突然、体が“ふっ”と軽くなり、金縛りが解けたのが、分かりました。
解けた反動で右手が勢いよく動き、隣で寝ていたAちゃんの背中に
バチーーーン!!
と、当たってしまいました。
とても痛かったのか、その勢いでAちゃんは飛びおきました。
私はAちゃんにさっきの出来事の全てを、涙ながらに説明しました。
⸻
Aちゃんも私の話しを聞きながら、恐怖で段々と顔が青ざめていくのがわかりました。
「え…?ミィちゃんどこにあるの?」と、
Aちゃんが言います。
そういえば、私の左側にも本棚にも、ミィちゃんの姿が見えません。
恐怖で震えながら私たちは、ミィちゃんを探します。
だけど、いません。本棚にも、床にも、どこにもミィちゃんが居ないのです。
「え…どこ…」
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