今思えば、夜の学校の戸締まりがこんなにもなされていなかったのは、あまりに不自然だったように思います。
もしかしたら、最初から嵌められていたのかもしれません。
屋上の扉を開いた先、そこには落下防止用の安全柵の向こうに、大量の綺麗に揃えられた上履きと、淵に立つBがいました。
それ以外は他のグループの連中も誰もいません。
私が声をかけようとしたとき、
Bが飛び降りました。
私は、一瞬頭の中が真っ白になりました。
叫ぶことすらできません。
同じ姿勢で数秒間経って、頭がやっと働き出した頃。
私はあることに気がつきました。
落下音がしない。
間違いなくもう衝突しているはずなのに。
私は駆け出しました。
安全柵を超え、何が起こったのかを見なくてはという衝動に駆られました。
私は何かに足を取られました。
もう少し反応が遅れてたら、屋上から落下しているところでした。
床を見ると、
大量の画鋲と油が敷かれていました。
私は意味も分からず、反射的に屋上から下の地面を見ます。
そこにはBの姿はどこにもなく、
真下に石灰で模ったであろう人型のマークと、その側に私にスマートフォンを向けたB以外のグループの二人がいました。
彼らに私が何を言ったのかは覚えていませんが、おそらく怒鳴りつけたような気がします。
彼らは、何も反応を示しませんでした。
どのくらいたったでしょうか。
叫ぶことにすら疲れた私は、体をふらつかせながら元来た道を辿り、屋上の扉を閉めました。
その瞬間、
何かが落下した時のような衝突音と、数十人の、とても大きな笑い声が扉の向こうから聞こえてきました。
『こいつさ、これだけで終われると思ってんのかな』
クラスメートたちの声でした。
私は全力で階段を下り、一心不乱に家に帰りました。























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