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不思議体験

sabakanさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

誰もみていない飛び降り
長編 2025/10/16 21:48 4,047view
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しかし、これでは証拠にもなり得ません。
そればかりか、私は別のことを考えてしまいました。
飛び降りている最中の人間を撮影するには、人が飛び降りる瞬間までにある程度準備が必要なのではないか。
先ほどのBの話の中でも、写真を撮ったという部分が意図的に誤魔化されているようにも感じ、私は何か薄ら寒いものを覚えていました。
ですが、その場でいろいろ言っても、より空気が悪くなるだけだと感じて、私はもう言葉を続けず、他愛のない話を少ししてそのまま解散となりました。

家に帰った後、私はその団地について調べました。
案の定、そこで飛び降りがあったという話はいくら探しても出てきませんでした。
私はBがなぜこんな嘘をついたのか理解できませんでした。

その日の23時を回った頃、BからLINEで2枚の画像が送られてきました。
どちらとも手ブレが酷い画像でしたが、かろうじて私たちの高校だということは分かりました。
私が既読をつけると、間髪入れずにBから電話がかかってきました。

私は、あの写真はなんなのか、今学校にいるのかなどをBに聞きました。
ところが、Bは何も答えません。
聞こえるのは僅かな呼吸音と、おそらく階段を登っているだろう足音だけです。
私が何を聞いても、Bは答えてくれません。
電話は、まるで高いところから、何か大きなものが落下した時のような衝突音を最後に切れました。

私が、言葉にし難いものの、これは何かまずいことになっているのではないかという感覚に襲われていると、Bとは別のグループのメンバーから電話がかかってきました。

『なあ、お前もBから変な電話かかってきたか?』

私がそうだ、と答えると、もう一人のグループのやつも含めて全員で学校に行かないかと提案を受けました。
私は、警察や先生など、しっかりと大人に対処を願い出るべきではないかと一瞬考えましたが、現状を伝えても特に何かが起こったわけではない以上、Bが夜の学校に忍び込んだことを怒られて終わりだと結論づけました。
私はグループの中では一番家が学校に遠く、先に他のメンバーに到着してもらいBを探してもらうという話になりました。
私が学校に向かっている途中で、グループLINEで先に学校に到着した二人が合流したと連絡がありました。

彼らはBを探しているものの、なかなか見つからないようです。
私は、屋上に向かってみるように言いました。
なんとなく、直感があったんです。
すると、二人から屋上に繋がる扉の、薄暗い写真が送られてきました。

そして、それから二人からの連絡は途絶えました。

私の中で嫌な予感がどんどん膨れ上がっていきます。
ついに私は学校に到着しました。
正門を登って突破し、一番空いてそうな職員室の裏口の扉を開けました。
扉はすんなりと開きました。
私は3人の名前を呼びましたが、応答はありません。
高鳴る胸を抑えながら、私は屋上へ向かいました。
屋上の扉に手をかけて、開けました。

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