「大鷹君も来てたか?よーし、今から怖い話をしてあげよう」
そう。今日はZOOMにて、ロメロさん、タカハシさん、僕の三人で怪談大会を行うのだった。
「じゃあ、タカハシさん。怪談の方をよろしくお願いします」
タカハシさんは怖い話を始めた。タカハシさんの地元で数日前、自治会による地区の子供たち参加の肝試しがあった。道は小さい子供でも分かりやすい所であったという。そして、夜に肝試し(タカハシさんは自治会の手伝いで参加)が行われた。そして、地区の子供たちは肝試し中、大鎌を持った老婆に襲撃されて多数の死傷者を出した。大鎌を持った老婆は保護者やタカハシさんを襲い掛かり、人々はパニックになった。その時、パトカーのサイレンが鳴る。老婆は急ぎ足で、獣道に入りこんだ。MAT49短機関銃やイサカM37散弾銃で武装した警官隊も獣道に入る。数分後、凄まじい銃撃戦が起こった。警官隊もかなりの死傷者を出したという。未だに大鎌を持った老婆は捕まっていない。
「俺の話はこれで終わりだ」
「タカハシさん、これで終わりなんですか?」
「うん。これで終わりだ。次は大鷹君の番だったな」
仕方ないな。僕は怖い話を始める。
「これは僕が先日体験した話だ」
僕は仕事を終えて、自宅に帰る時、男が大声をあげながら走っていた。僕は最初何なんだ?と思った。次は買い物帰りのママチャリの主婦が大声をあげながら、
「警察呼んでちょうだい!すぐそこに大鎌を持った老婆がいる!」
僕は見てみた。そこには大鎌を持った老婆なんていなかったのだ。
次の日、僕は仕事帰りに行きつけの書店に寄って、以前、タカハシさんが僕にお勧めしてくれた作家、中山七里の「カインの傲慢」を購入している時、男子高校生が大声をあげながら、書店に入ってきた。なお、タカハシさんは中山七里の小説だと「スタート!」「魔女は甦る」「追憶の夜想曲」「嗤う淑女」「連続殺人鬼カエル男」がベスト5だ、と言っている(そして、僕も勧められて読んだが面白かった)。
「警察呼んでくれ!駐車場に大鎌を持った老婆が大鎌振り回しながら暴れている!」
店員は外に出て、悲鳴を上げた。
「大変だ!大鎌を持った老婆が暴れている!」
僕は駐車場を見た。僕は店員に答える。
「いったい、どこに大鎌を持った老婆がいるんだ?誰もいないぞ」
どうやら、僕には見えないらしい。最近、こういう事が僕の周りで続いているのだ。僕の友達は、大鎌を持った老婆は見えないようだ。結局のところ、老婆に関しては見える人と見えない人がいるのであろう、と僕はそう解釈している。
「僕の話は終わりだ。次はロメロさんあなたの番だ」
こうして、僕たちは順番順番に怖い話をした。そして、99話目は僕の番であった
これは友達が高校時代に体験した話だ。友達は高校の先輩から、先輩の下宿先のアパートの留守番を任された(先輩は岡山の実家に帰省した)。先輩のアパートは典型的な2階建てアパートであった。先輩は夏場になるとベランダの窓を開けて寝るらしく、朝方にはハトが来るのである。さて、友達はというと先輩のアパートでメガドライブのRPG「ファンタシースター」をオールでプレイしていた(なお、補足であるがファンタシースターは最初に出たのはセガマークⅢであるが、メガドライブ版もある)。なお、友達は「ファンタシースター」シリーズは全作プレイしたと僕に自慢している。友達は「ファンタシースター ~千年紀の終りに~ 」がシリーズ最高傑作であるとしきりに言ってくる(なお、歴代主人公で好きなのはⅡのユーシスだ)。さて、友達は朝方までゲームをして仮眠をとることにした。仮眠をとったらとったで「ファンタシースター」の続きをするのだ(なお、朝飯はカップラーメンですませる、昼も夜もな)。友達が仮眠をとっている最中、クックックッと音が聞こえる。この時、友達はハトが来たのかと思った。そして、目を覚まし、起きる。そこには斧を持ったホッケーマスクの男であった。斧を友達の頭上にめがけて振り下ろす・・・
「というのが、友達が高校時代に体験した怖い話だ」
「おいおい、13日の金曜日のジェイソンかよ」
ロメロさんは大笑いした。僕とロメロさん、タカハシさんの三人でZOOMで百物語を話していた。最後の100話目はロメロさんが話すことになる。百物語は100話目を終えると怪異が起こるのだ。
「もっとも、ジェイソンが出たのは2作目からだけどな(トレードマークのホッケーマスクは3作目から使用している)。1作目はジェイソンの母親が犯人だが」
とタカハシさんは付け加える。
「そーなん?じゃあ、次は俺が怖い話するね」
ロメロさんは怖い話を始める。
「これはポルノ映画を作っている奴から聞いた話なんだが・・・」
1970年代のアメリカ・カリフォルニアのマリブビーチで起こった話だ。その日、ポルノ映画のスタッフはマリブビーチでポルノ映画の撮影をしていた。あの当時の彼らは大ヒット作のディープスロートやグリーンドアに続けと言わんばかりにポルノ映画を製作していた。撮影が終わって、編集をしている時、白いくねくねとしているものが映っていた。つまり、アメリカでもくねくねはいるという事だ。ロメロさんは
「さて、その現物を見せよう」
とその動画を見せる。マリブビーチにて白いくねくねが5人もくねくねと踊っているではないか!
「ロメロさん・・・まさか、これが最古に残るくねくねを激写した映像なのか?だとすれば凄いじゃないか。でも、こーゆーのはテレビの心霊番組で放送されていても、問題ない。いや、放送しても差支えがないんだが」
「ああ、非公式ではそういう事になる。あと、なんでこれが公にならないんだ?という顔をしているが。まあ、大鷹。話は最後まで聞け。1970年代当時のポルノ映画業界自体、白い眼が見られるような感じだから、この心霊映像はアメリカのオカルトマニア(SFマニアからも)からは「ヤラセ」と決めつけて、誰も取り合わなかったんだ(まあ、映画「ブギーナイツ」を見れば当時がどういう状況なのか分かる)」
なるほど、と僕は納得する。
「この映像をどういう経緯で入手したかというと、俺はそのポルノ映画製作者とマブダチで「ヘイ、ロメロ!お前がよく話す日本のモンスター「くねくね」だぜ」と見せられたんだ。当然、マジかよ!って思った!だって、アメリカで「くねくね」が確認されているんだぞ!俺思わず、勢い任せて貴重な映像を「YouTube」にアップロードしちゃったよ」
ロメロさんは鼻息を荒くしていった。どうやらロメロさんは「くねくね」の動画を出して、バズったらしい。
「それからというもの、「くねくね」にまつわる動画がタケノコのごとく、わんさか現れた。マリブビーチだけでなく、サンタモニカ・ピア、ロングビーチ、ロデオドライブ、サンセット大通り・・・特に1980年代や1990年代のカリフォルニア州で撮影された映像が多いんだ(家族のホームビデオ系の奴が多いが)。それにここまで目撃情報が多いのに、なんで今更なんたって感じもするが。まるでダムの決壊みたいだな、と思ったよ。それまではアメリカ人たちは「くねくね」という日本のモンスターの事を知らなかったんだな。っていうのが俺の見解だ。それじゃ、これで俺の話は終わりだ」






















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