年商20億円の女社長の末路

当時、小学5年生だった私が学校からの帰宅する途中、JRの廃線になった線路の辺りを歩いていた。それにしても昨日、テレビで見た1950年代のフランスを舞台にアメフト、アメ車、ロックンロール、ジャズやチアリーダー等といった進駐軍がもたらす物質豊かなアメリカ文化にハマっていく青年の青春や恋、親子の確執を描いたアラン・コルノーの青春映画「アメリカの贈りもの」は面白かったな(ちなみに配給はアルバトロス・フイルムだ)。今度、クラスメートたちにも「アメリカの贈りもの」を薦めてみよう・・・と考えていた私はふと、線路の方を見る。そこにはボロボロの赤いワンピースを着た少女がいた。
「前、テレビで見た「雨のニューオリンズ」みたいだな」
私はそう考えながらワンピースの少女に声をかける。
「ねぇキミ。そこJRの線路だから危ないよ」
少女は私の方を向いた。そして、手招きする。私は線路に入る。少女は
「ここはもう廃線になって使われていないってことぐらい知っている」
と私に反論する。私は
「キミ。ここが廃線だっているのは知っているようだね？ここじゃ何だからそこの茂みでちょっと休憩したら？」
と言う。私と少女は茂みの中に入る。私はランドセルを置き、座る。私は少女の股間の部分が発起しているのを見た。それを察した少女はボロボロの赤いワンピースを脱ぎ始める。裸体になった少女の股間には女性器だけでなく男性器も付いていた。私は少女の男性器を観察し触る。私もタンクトップとホットパンツ、いちごパンツを脱いで裸になる。

数分後、少女との「大人の遊び」を終えた私は少女に質問する。

「キミ。どこから来たの？」
「豊中」
「へぇキミそんな遠くから歩いて来たんだ」
少女はある話を始めた。

それは少女に家や家族がいたころの話であった。少女は元々大阪府・豊中市に住んでいたのだ。両親は日本全国に居酒屋、弁当屋、和食料理屋のチェーン店、アパレル関係と複数の事業をしており、年商20億円でリッチな生活をしていた。そんな両親は少女の10歳離れた姉に会社の経営を任させるようになっていたのだ。この姉は自意識過剰で傲慢であった。そんな姉はある優男(仮にA太とする)と付き合うようになっていた。ただ、A太は既婚者であり、定職につかずゲーム三昧の「うんこ製造機」であった。少女からしてみたら、姉は何故、「うんこ製造機」のA太のどこが良くて交際していたのか分からなかったという。A太にはB子という嫁がおり、B子の亡くなった両親はY国にて地方銀行、証券会社、クレジットカード会社といった金融業を営んでいた(ただし、B子は銀行の経営には関与していない)。言うまでもないがB子のパートでの収入で夫婦生活が成り立っていた。A太にぞっこんの姉はA太は妻であるB子と離婚して、慰謝料300万を払おうとしていた。A太は笑いながら
「B子に離婚と慰謝料を払わせるよりか、B子をぶっ殺して、Y国の地方銀行を乗っ取ろうぜ！」
と言い出した。姉はその提案にあっさり乗った。

「翌日、B子をとある廃墟に呼び出すと姉とA太はB子をナイフでめった刺しにして、B子の死体を解体した後、肉団子や餃子の具にして処理したわ、うふふ」
少女は香港のホラー映画「八仙飯店之人肉饅頭」みたいな猟奇じみた話を笑いながら話す。

さて、少女の姉やA太の手によってY国のB子の両親が経営していた地方銀行等が乗っ取られた辺りから、Y国のメディアコングロマリット「キメチャン・コーポレーション」のCEO、レイモンド・フォン・イッチマンが不信感を抱くようになっていたのだ。それは姉が銀行の経営に介入するようになってから、経営状態が可笑しくなっていたのである。レイモンドはY国で調査会社を営んでいるクラトス・ジョーンズタウンに身辺調査を依頼したのだ。

「あの女社長になってから、俺の自宅に変な写真が届くようになったんだよ」
レイモンドはクラトスとの調査報告の時に自宅に送られる写真を見せる。写真には少女の姉とA太の浮気写真や肉団子や餃子が写されていた。クラトスは
「俺はこんな女社長とB子の旦那の「昼下がりの情事」まで調査はしていないはずなんだ。いったい誰なんだ？レニーや俺にこんな写真を送り付けたのは？」
と首をかしげる。レイモンドはある事を思い出す。
「クラトス。俺もちょっと気になった事がある。B子の事なんだ。B子が失踪してから、この写真が送られるようになったんだ。まさかと思うが・・・」
「B子が殺害された可能性があるというのか？」
「ああ。だとすれば俺たちも大変なことになる。ここままの状況だと地方銀行が倒産しかねん。今すぐタスクチームを編成する。クラトスすまないがキミも今回のタスクチームに入ってくれ。報酬ははずむから」
レイモンドは急いで電話をかけて部下を呼び出す。

その後、クラトス率いるタスクチームの調査によってB子を殺害して、Y国の地方銀行の乗っ取った事が発覚し、少女の姉とA太は大阪府警に逮捕された。また、取り調べの際、数々の余罪がある事が発覚し、姉が行っていた複数の事業はガタガタになったのだ。なお、A太は病院の検査でエイズに感染していたことが発覚した。なお、A太は刑務所内で囚人たちにリンチされて死んだという。A太との性行為によってエイズ感染したことを知って発狂した姉は刑務所に送られ、父親はエイズで死亡。母親は若い男と駆け落ちしたが、結局エイズで死んだ。

「私たちの家族がエイズ感染して全滅したのもB子の呪いかもね、うふふ・・・」
ボロボロの赤いワンピースを着た少女は私に「年商20億円の姉」の末路を話すと、再び線路の上を歩いていった。私は少女を見送ると脱ぎ散らかした服を着て、ランドセルを背負ってその場を後にする。