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妖怪・風習・伝奇

kkさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

山の中で出会った兄弟の話
長編 2025/09/23 19:53 31,478view
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俺も差し出された皿を手に取り、そっと箸をつけた。

イチダは、力の抜けた手を伸ばし、皿にある肉を手づかみで取り、口へ運ぶ。

その動きは丁寧に見えるのに、肉を噛むたびに、妙に不自然で濁った音が響いた。

息を吐くたび、器官からかすかに鳴るような、異様な咀嚼音が耳に残る。

対照的に、ニヤマは大きな手で具材を豪快につかみ、仮面の下に押し込むように口へ運ぶ。

咀嚼する音はまるで誇示するかのように大きく、囲炉裏の火のパチパチという音をかき消すほどだった。

ミヨシは、箸を使わず土下座のようにしゃがみ込み、顔を伏せて具材を口に押し込む。

まるで自分の存在を隠すかのように、犬のように食べている。

その姿は異様で、視線を逸らさずにはいられなかった。

シバだけは普通に箸を使い、静かに食事をしている。

だが仮面は外さず、口元の奥で食べ物を運ぶ様子は、どこか子供のように無邪気であり、同時に不気味でもあった。

俺は箸を握ったまま、息を整え、食事する。あの時の味は覚えていない。何も味がしなかったような気がする。やがて食事が終わると、シバが静かに立ち上がり、俺に向かって言った。

「さあ、おじさん、こっちだよ。寝る部屋はこっち」

彼について行くと、家の奥の方に小さな扉があった。開けると、中は客用の部屋らしく、普段はあまり使われていないようだった。

部屋に足を踏み入れると、埃っぽい匂いが鼻を突き、空気が重い。

床や畳の上には厚い埃が積もり、触れたものはすぐに薄く白い粉を巻き上げる。

窓から差し込む光は薄暗く、障子の紙は部分的に破れて、風が通るたびにかすかに紙が揺れる。

古い布団や座布団が乱雑に置かれ、壁に掛かる絵や掛け軸も色あせ、ほこりをまとっている。

「ここでゆっくり休んでね」

シバは面越しに微笑み、ふわりと布団の近くに立った。

その無邪気な様子と、埃まみれで古びた部屋の雰囲気が、妙に奇妙なコントラストを作っていた。

俺はため息をつき、布団に体を沈める。

この山の奥深くで、こんな夜を過ごす

この山の奥深くで、こんな夜を過ごすことになるとは、思いもしなかった。

5/10
コメント(5)
  • 読みやすくてめっちゃ好き 話の内容が入ってきやすい

    2025/09/25/09:24
  • すっごく怖くて久しぶりにゾクゾクしました。

    2025/10/01/19:08
  • 久しぶりにゾクゾクしました。

    2025/10/01/19:08
  • ↑マジそれな、今まで読んだ中で1番最高だわ

    2025/10/05/17:45
  • ハゲ碓井みたいだな

    2025/12/20/09:22

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