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さらに次の日、最悪なことが起こった。
何故か主治医が変わり、治療方針が大きく変化したのだ。
新しい主治医が、手術をした方がいいと言ったのだ。
薬での治療は体への負担は確かに少ないが、再発のリスクがあるとか何とか言っていた。
手術が怖くて仕方ない私はものすごく嫌だったので、それを渋った。親も、少し考えさせてくれと言ってくれた。
新しい主治医は、宮守と言う名前で、珍しい名字だな。と思ったのでよく記憶している。
宮守は手術をしよう。といい出すこと以外はとても優しく、良い先生だった。
手術が怖いと言った私に寄り添って、親身に話を聞いてくれた。
昨晩現れた、死んだ目をした男の霊のことについても、否定することなく熱心に耳を傾けてくれた。
親もいい先生に診てもらえてよかったと嬉しそうに言っていた。
しかしながら、宮守には悪いが、やはり手術は怖かった。
その日の夕方、手術はせず、抗菌薬治療を続けていきたいと伝えた。
宮守は、意外にもあっさり、では、それでいきましょう。と言った。
それを聞いてホッとして、宮守と親が出て行ってすぐに、私は眠りに落ちた。
深夜、カチ…カチ……という音で目が覚めた。
しばらく寝ぼけていたので、何が何だか分からなかったが、すぐに昨晩のことを思い出して、震えながら布団に潜る。
それでも、やっぱりそっちを見ずには居られなかった。
恐る恐る視線を移すと、
カーテンの隙間から、あの男の霊がこちらを見ていた。
しかし、今日は顔だけでは無かった。
カーテンの隙間から、異様に長い指が出ていた。
指は明らかに多く、7本くらいあって、黒く鋭い爪がついている。
両手の爪を、擦り合わせていた。カチ…カチ……という音は、爪が擦り合う音だった。
逃げ出したかったが、お腹が痛むし、体が何故か動かない。声も出せない。これではナースコールも押せない。
昨晩のように、気絶することも出来なかった。
心臓の鼓動がとても早くなるのを感じ、背筋に汗が流れる感覚を味わう。
























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