壁から出てくる手と部屋に響き渡るうなり声
投稿者:ぷーさん (30)
初めて私が金縛りにあったのは小学生の頃でした。真っ暗な部屋の中で横たわっていると、壁の方から「ううううう」の男性の苦しむ声が聞こえてきたのです。
「なんだろう?人がいるわけないのに」と思いつつ、壁が気になって仕方がありません。ジッと壁の方を見ていると、ぶわっとなにか出てきます。暗いのでよく見えないのですが、うっすらと月明かりで見えるとそれは、どうも、人の手に見えます。そして、なにかを掴もうとしています。
「うわ、まさか、私を掴もうとしているの?逃げなくちゃ」と、子供ながらに早く部屋から出た方がいいだろうと思いました。
でも、全身が硬直していて、動けません。「どうしよう」と思っていると、壁から出てきたものがこちらに近づいてくるように感じます。「ううううう」うなり声もますます近くなってきます。
「いやだ、どうしよう」そのときです。仏壇があることを思い出し、「ああ、ご先祖様。どうか私をお守りください」と心の中で祈りました。仏様とかではなく、なぜかご先祖様に助けを求める私。
「お母さんの言うことをよく聞きますし、勉強もちゃんとしますから。どうか、どうか私を助けてください」と、両手を合わせているつもりで、心の中で何度も何度も祈り、助けを求めました。
すると、「うううう」といううなり声が聞こえなくなってきました。「やっぱり、ご先祖様が見てくれているんだ。ありがとうございます」と感謝をしました。
ところが、壁から出てきた手はまだ私をつかもうとしているのか、上下、左右に動いています。「だめだ、ご先祖様に頼んで無理みたいだな。どうしよう」と不安になります。
そのときです。仏壇にあった写真の男性のことを思い出しました。誰だかよく知らないのですが、いつもにこっと微笑むおじさんの写真を見て、「なんだか自分を守ってくれそう」と感じたものです。
「おじさん、助けて!」と心の中で強く願いました。すると、「ひいいい」と壁から悲鳴が聞こえてきて、手が壁に吸い込まれるようにして消えていきました。
おじさん、どんな続柄だったんですか?