しばらく撫でられていると、何となく違和感を覚えました。
撫でる手つきがだんだんと強くなっているのです。
指先に力が入っているのか、撫でるというよりも押しつけるような動き。
固い感触が頬をかすめ、私はようやく彼女に爪をたてられているのだと気づきました。
手の力はますます強くなっていき、いつの間にか彼女は馬乗りになって、私の首を絞めていました。
「ゔううー。ゔあああー。」
と恐ろしい声がすぐ近くから聞こえます。
馬乗りになった彼女が私の耳元唸り続けているのです。
私は怖い以上に、信じていた人に裏切られたような悲しみと混乱をなぜか感じていました。
どうして、この人がこんなことするはずないのに…。
なんで、どうして…。
頭がパニックになったまま、いつの間にか私は気絶しており、気付くと朝になっていました。
その日から彼女は現れていません。
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ここからは余談で、ほとんどが私の妄想のようなものです。
私の実家は田舎にあり、近所に本家にあたる家があります。
本家は今では普通の農家なのですが、昔はかなり財産があったようで、敷地内には大きな古い蔵などがあります。
蔵といっても今はほとんど農作業具などの物置になっています。
先祖に博打好きなものが続き、借金を抱えた結果、財産のほとんど売ってしまったのだそうです。
また好色な当主もいたそうで、何人もお妾さんがいた代もあったようでした。
私の実家の裏は雑木林になっており、中に朽ち果てた廃墟があります。
その廃墟は、元々本家のあるお妾さんが暮らす別邸だったようなのです。
そのお妾さんは、子供と二人で暮らしていたそうですが、子供が幼くして亡くなり、お妾さんもすぐに亡くなったそうです。
私も小さい頃その廃墟の周囲を探検したことがあります。
廃墟のすぐ近く、藪に埋もれてしまいそうな小さなお地蔵様がありました。
今思うとあれは、供養の為に置かれたものだだだのでしょう。
























少し悲しい切ない感じ