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不思議体験

kanaさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

オーブをよく撮るカメラマン
短編 2025/07/21 19:08 1,018view
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もうだいぶ前の話になりますが、オーブをよく映してしまうカメラマンがおりまして・・・
いや、ぶっちゃけて言うとボクのことなんですけどね。
ボクはその~自分で言うのもなんなんですが、趣味が多彩で、「独身男がハマリやすい趣味」と言われるもののほとんどにハマっており、カメラについても高校生の時にリコーのサンキュッパ、XR-500をお小遣い貯めて買い込んで、独学で学んでおりました。
(※このくだりは以前書いた【とあるマニアの心霊写真】という作品でも語ってますが)

そのせいもあって、会社勤めしても写真を撮るってなったらまず自分に声がかかる始末です。雑誌編集や広告の仕事もしていたので、ボクの撮った写真は世に出ていますし、今でも特定の検索ワードを入れればボクの撮影した写真がネット上でもたくさん出てきます。ただ、プロカメラマンとしては名乗ったことがないので、まぁ素人に毛が生えた程度のカメラマンって感じですね。

そんな感じなので、社員旅行だーの、運動会だーの、会社でイベントだとなれば、だいたい自分にカメラマン役が回ってきてアレコレ撮らされたもんです。そしてお決まりの集合写真を撮ると、なぜかボクが撮る集合写真にはオーブがたくさん写るんですよね。

ただね、ボクはそれを即座に心霊だのスピリチュアルだのと言うつもりはないんです。
自分的には「またオーブかよ」って感覚ですし、そもそもオーブの正体はホコリだとか、水滴だとか言われています。集合写真をとるためにみんながワサワサ動くからホコリが舞って、それにストロボの光が当たってオーブのように見えるんだとか、滝の近くで撮影すれば空気中に漂う小さな水滴に光が当たってオーブになるんだとか、まぁそんなことくらいはとっくに知ってます。レンズと光の原理からすれば十分ありえる話なんです。

でもね、そんなオーブの飛んでる写真を社長に見せると、「これはみんな【気】が飛んでるんや、やる気と元気が満ち溢れとるんや」と言って、縁起がいいと喜んでたんです。

こーゆー人の事を「転んでもただでは起きない」って言うんでしょうか。
そんな感じでオーブの写真を撮っても逆に喜ばれるので、こっちも気にせずホイホイオーブの写真を撮っておりました。

ある時、ちょっと変わったオーブの写真を撮りました。
これだけは今でも本物のオーブか?と思っているんですが・・・

何年かぶりに田舎に帰省した時のことです。
その時、ウチの実家はもうボクの生まれた家ではなく、街から少し離れた片田舎の大自然が残るようなところにある借家で、ポツンと一軒家というわけではないんですが、まぁまぁ自然の中にある家で、そうなるともう撮影が楽しくてですね、何を撮っても絵になる感じなんですよ。【止まれ】の道路標識を撮っても緑の中と真っ青な空をバックにまっすぐ立つ姿がおもしろかったり、ただの道路が絶景だったり。

で、夕方近くなって陽もだんだん沈んでくる。
こうなると夕空がまた美しい色を作り出すわけで、またまた撮影の黄金タイムですよ。
日没後20分から50分くらいまでをトワイライトタイム、あるいはマジックアワーとも呼ぶんですが、この時間帯は空のグラデーションなんかも美しく、映える写真を撮りたい人には絶対おすすめの時間なんですが・・・心霊好きの皆さんには、別名「トワイライトゾーン」あるいは「逢魔が時」と言った方がピンと来るかもしれないですね。昼でも夜でもない曖昧な時間。それは魔界への扉が開かれる時間なのかもしれません。

そんな時間に、美しい夕空を背景に右の方に森が映るような風景写真を撮ったんです。
その時に、森の木の上の方の暗闇の中で、なにかがキラリと光ったんですよね。
何が光ったのかは確認できませんでした。なぜなら、それはもうシャッターを押す瞬間の刹那の時間、完全にファインダーが瞬きするまでのほんの一瞬光っただけで、「あれ?今なんか光ったな」と思った時にはもう写真を一枚撮り終わった後でした。カメラから視線を外して、肉眼で森の方を見ますが、もうそんな光はありませんし、森の中に何か光るようなものや反射するようなものがないことは確認しました。

今写した画像をモニター画面で確認すると、確かに白く丸く光っているものが映ってる。
それはまぎれもなくオーブと言ってよい光なんですが、自分としてははじめての体験です。
だって今まで撮った数々のオーブは、撮影時には見えなかったけど、出来上がった写真には映っているオーブで、それらはホコリだとか水滴だとか理由付けができる。
でも、今撮ったオーブは、シャッターが下りるちょっと前に、自分の肉眼で光ったのを目撃してから撮影したのです。タイミング的にほんの1秒でもずれていたら撮影出来なかったであろう光。光源のないところに突如発生した光。
ボクはこの時のオーブだけは今でも「本物かも」と思っています。

で、肝心のその写真なんですが・・・今、見当たらなくてですね・・・
過去に撮った何万という画像の中に埋もれているか、DVD-ROMにバックアップをとってあるか・・・プリントしたものがどこかに残っているか・・・とにかく今現在見当たらなくて、非常に残念です。でも、自分の肉眼で確認したのは本当ですから、せめて話だけでもここに書き記しておこうと思った次第です。

そのうちいつか、お見せできる機会があればなぁと思います。

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コメント(2)
  • 怖いです
    一人で見てるからめっちゃ怖い
    (自分怖がり)

    2025/07/24/10:34
  • ↑kanaです。コメントさんくす~
    最近書いてるのはあんまり怖くないと思って書いてるのですが、
    怖がってくれてありがとうございます。
    やっぱ怪談ってさ、リアルの本当のことをそのまま書くとあんまり怖くないな~なんて思ったり。
    でも、本当のことだからしょうがないよね。
    そこを怖がってくれる感受性豊かな読者の皆様に助けられてます。(^^)/

    2025/07/31/20:50

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