Hさんのお姉さんが東京へ引っ越してくることになった
先に東京で就職していたHさんが、お姉さんの引越し先探しを手伝ったときの話しである
区内で格安物件なんてそうあるものではない
あちこちと物件を見てまわったがいまいちお姉さんは気が乗らないようだった
とうとう、最後の一軒になってしまった・・・・
そこは一軒家、区内では本当に格安である
気の乗らないお姉さんをよそにHさんは間取り図を手に玄関を開けた・・・
「うわっ、カビ臭い」
そう言うとHさんは玄関に上がりこんで電気をつけた
古い建物、もう何年も空気を通していないようだった
「ねぇ、安いのはいいけどちょっとボロ過ぎない?」
「なに言ってるのお姉ちゃん、さっきからどこ行ってもダメダメって」
「東京のど真ん中でわがまま言いすぎだよ」
「え~・・・・」っと不服そうである
「じゃあお姉ちゃんもっと引越し予算出せる?」
「出せないよぉ」
「ほーら、だからあたしが苦労してるんじゃない」
と言うとHさんは先に奥へと上がり込んでいった
あとを追うようにお姉さんも玄関を上がろうとした時だった
玄関に白いズックが脱いである・・・・
(おかしいな?)っと思いながらもHさんのあとを追って上がりこんだ
Hさんと一緒に間取り図を片手に部屋を見てまわる
最初に見たのは六畳の和室
お姉さんは何となく嫌な雰囲気を感じていた
Hさんが先に部屋を出ると
ふっ、と部屋の電気が消え真っ暗になった
お姉さんは背後に人の気配を感じ恐る恐る振り返った
子供?・・・・女の子?・・・・人の姿が見えたように感じた
薄闇の中よく見ると誰もいない
しかし、足元にお風呂で遊ぶような小さな金魚のおもちゃが落ちていた

























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