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呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

見返してくるもの
短編 2025/07/18 09:54 1,790view

「動画の中の俺が、徐々に変わってきてるんだ」

「変わってる?」

「うん……目が合うんだ」

彼の言葉は震えていた。

画面の中、布団の中にいる自分が、突然カメラの方を見つめ返すのだ。
まばたきもせず、表情も変えずに。
無表情で、ただ、じっと。

まるで録画された“自分”が現実の自分に気づいているかのように。

「昨日は、ついに喋った」

「喋ったって?」

「『見てるの、わかってる』って……」

その夜、彼は自宅に帰らなかった。
私たちは説得しようとしたが、結局ファミレスで朝を迎えた。

翌日、彼とは連絡が取れず、大学にも現れなかった。

警察が動くほどのことにはならなかったが、
彼の部屋の壁に拳大の穴が開いていたという話を聞いた。

穴の先は、ただの構造壁で、何もない。
しかし、穴の縁だけが内側から黒く焦げていた。

それはまるで、見えざる力がそこからこちらを覗いていたかのようだった。

そして、今。

私にも妙なことが起こっている。

机に向かっているとき、背後に何かの気配を感じるのだ。
振り返ると誰もいない。

だが、スマホのインカメラが突然勝手にオンになることがある。

今日、昼間に撮った写真を見返すと、背景に白く細長い“指”のようなものが写っていた。

それは私の手ではない。

恐らく、私はもう“見られて”いるのだ。

この話をしていることも、きっと“あの何か”は知っているのだろう。
スマホの向こう側で、今も――

じっと、私を見返しているのだから。

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