地味な男子が言っていた空の光

中学生の時、クラスでUFOについての話が流行っていたことがありました。大体は、飛行機かなにかの光についての話を、違うとわかっていながらも、楽しんで話しているという感じでした。

そんな中、クラスであまり発言をしない男子が言ったことに注目が集まりました。彼が見たUFOの話です。

彼は、放課後、ある公園に行くとUFOが見られると言っていました。それは、ほとんど独り言のようで、私にしか聞こえていなかったのではないか、と思いました。実際、その話は誰も聞いていなかったのですが、私は帰り道そこを通ります。ちょうど時間もぴったりだったことを思い出して、空を見てみました。

すると、空で光が動いていたのです。飛行機と違って、止まっていたと思ったら、急にすーっと横に動いたり、ぱっ、ぱっ、と素早く動いたりしました。誰かがマウスのポインタを動かして表現しているのではないか、と思うくらいの、ふざけた動きでした。

気のせいかと思ったら、翌日も、その次の日も、同じような光景が見られました。驚いて、私は友人にその話をしました。すると、友人たちも同じものを見ることができました。

だんだん噂が広まり、公園には十人くらいの人がやってくるようになりました。しかも、それは、私が最初に言ったことになっていました。私は、仲良くしてくれる人が増えて嬉しかったのですが、本当は彼の言ったことなのに、と気になっていました。

ですからある日、私は、彼に、彼の話を聞いて、それをみんなに伝えただけだと話しました。すると彼は気にしていない様子でした。どうせもうすぐ終わるとも言っていました。どういうことかと思っていると、本当に光は見えなくなったのです。

それから彼に、あれはどういうことなのか聞いてみても、知らない、としか言ってくれませんでしたし、急に増えた友人も元にもどりました。

一回、彼が、公園で空を楽しそうに見ていたことがありましたが、私には空になにも見えませんでした。