水をつけて貼りなおせばよいのだが、バイト終わりでそんなことをする気力もない。
それに、よく考えれば、一番下のシートはいらないかもしれない。
「そういえば、一番下っていらないよね…」
中途半端に剥がれたままにしておくのも嫌だったので、面倒くさい気持ちと、もう大丈夫だろうという安易な判断が混じり合い、思い切って一番下のシートを完全に剥がしてしまうことにした。
カーテンを閉めて、剥がしたシートを何とか折りたたんでごみ箱へ。
燃えるゴミで処分できるのも目隠しシートのメリットだ。
「今日もお世話になっちゃって悪いね」
友人のA子は大学で初めてできた友達だった。
隣県から2時間ほどかけて大学に通っている。
翌日が1限の日は前日に私の家に泊まることがあるのだ。
「全然!夕飯代も割り勘になるし」
私はそう言うと、バイト先で買っておいた総菜をテーブルに並べ始めた。
2人で夕飯を食べながら、講義のレポートの愚痴や、バイト先の気になる男の子の話題に花が咲いた。
2人で食卓を片付けた後はA子、私の順にシャワーを浴びる。
これは何となく決まったルーティンだ。
私がシャワーを浴びて出てくると、なぜかA子がいつものスウェットではなく、シャツにデニムパンツを身に着けていた。
「え?どうしたの?」
私が問うとA子は、
「アイス食べたいからコンビニ行きたい。一緒に行こう」
と誘ってきた。
私もA子も入浴後の外出はありえない派の人間だ。
訝しみながらA子に聞く。A子の顔はいつになく強ばっており、声もわずかに震えているように聞こえた。
「太るよ…?てか、もうシャワー浴びたからヤだよ」
「良いから!私おごるし」
いうが早いがA子は財布とスマホをもって立ち上がった。その手は微かに震えていた。
「じゃあ私も着替え…」
「早く行こう」
A子の声が、焦っているかのようにいつもより高かった。
A子に気おされるようにして私はジャージ姿のまま、家のカギとスマホを持ってマンションの部屋を出る。
エレベーターに乗って、エントランスを出る間、A子は無言だった。ただ、私の手を握る力が、やけに強かった。
























そっちかってどういう事?
怖い