「さらに酷くなってるもんね、意外と部屋の片付けしたら肌が綺麗になるらしいけど試すだけ試したら?」
「うーん」
最初はあまり信じていなかったのもあり、乗り気ではなかったが気分転換にも少し部屋を片ずけることにした。
「ん?なにこれ」
鏡の後ろを掃除しようとしたけど、紙が貼り付けられていた。御札みたいなでも落書きみたいな。ぐちゃぐちゃに殴り書きされたのか何も読めなかった。
「ひっ……」
とにかく不気味で触ってはいけないような気がしたから、とりあえず大家さんに連絡して見てもらった。大家さんは何か知っているのか私の顔を見て少しびっくりしたけどすぐにいつもの無愛想な顔に戻ったのもつかの間、今すぐ別の所に引っ越しなさいと言われた。
急に越すことはできず、その日はとりあえず友人の家に泊まることで夜を明かしたけど、当然御札のことや大家さんが気になりすぎてほとんど眠れはしなかった。
あとから大家さんに事情を聞いたらあの部屋を前借りていた人のせいだったらしい。
その人はすごく美人で自分の顔に自信を持っていたみたい。だけどモデルの卵でスタイルも良かったから自信を持つのは言うまでもなかった。
しかし、突然病気に掛かってその病気のせいで身体中にアザが出来たらしい。それが顔にも出来てきたため、自信だった顔までも失われてしまった。
そこから精神がおかしくなり道路で叫んだり、万引きを繰り返したりで強制退去になったらしい。
あの御札は大好きだった鏡を見る行為が辛くなったことによる【おまじない】だったと、それが憎悪で悪く作用するようになったのではないか。大家さんはそう説明していた。
前の住人は今、どこにいるかわからないらしい。
私は半年過ごして時々、気の所為だと感じていた夜中の睨まれるような視線にふと納得できた。あの時御札に気づいていなければ今、私は─────























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