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不思議体験

俺的な人物さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

包装紙
短編 2025/07/06 18:42 719view

「あの学校の裏山ですね」

Kさんが指し示す。

「中腹あたりに埋めたんですよ。行ってみますか?」

首肯しかねた。

「……ですよね。僕も、もう行きたくありません」

「気味が悪いですから」

現地に赴いたのは、Kさんからこんな話を聞いた後だった。

「10年前に埋めた、タイムカプセルみたいなものでした」
都内の某大学に通うKさんは今年成人している。
その彼の10歳時、小学4年生当時に埋めた物だと言う。

「僕とAくん、TくんとSちゃんの四人でした」

8月の茹だるような炎天下、放課後に裏山へ集合した。

「ゲームのカートリッジ、レアカード、人形、シール、落書きしたノート、セミの抜け殻……」
「それぞれに好きな物を持ち寄って、金属缶に入れて埋めたんです」
「10年後に掘り出そうと約束して」

四人の進路は分かれていったが、連絡は取り合っていた。
成人式のタイミングで、一度集まろうという話になったそうだ。
地元の居酒屋で解禁になった酒を飲みまくった後、赤ら顔のAくんが切り出した。

「今からアレ、掘り出しにいかねー?」

反対するものはいなかった。

「僕、飲めないんで、素面だったんですよ」
「酔っ払い三人連れて、運転役を買って出ました」

こういう流れになるだろうと予期していた為、Kさんの車にはスコップを積んで来ていた。

「なんだかんだ楽しみだったんですね、僕も」

騒々しい三人の面倒を見ながら、目的地にたどり着いた。

「危なっかしいから、僕が掘ることにしました」

掘り始めて間もなく、カンと音がした。
深く埋めた記憶があったが、そこは所詮小学生の力の範疇ということだろう。

果たして、宝物はそこにあった。
おおー、などと四人で歓声をあげて喜んだ。

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