事件の犯人も捕まらないまま、1年と3か月の月日が流れた。
ミナミさんは無事退院したと聞いた。
あまりにも悲しい形で失恋した、父さんはなんとかミナミさんと連絡を取ろうとしたけど、当時は携帯電話なんてものはないので、すっかりミナミさんとは疎遠になっていたらしい。
父さんは変わらず同じ会社に勤めてた。
残業なんて当たり前の時代だったので日付が変わろうという頃、会社を出た。
会社のエントランスを出ようとすると、外に人だかりが見えた。
人だかりの中心に居たのは、ボストンバックをもったみなみさんだった。
周りには先に、帰社していた社員たちが群れを成している。
父さんも、その群れに加わるとみなみさんに声をかけられた。
「あなたに逢いに来たの」
「僕もあなたに逢いたかった」
周りの目など気にせず、二人は抱き合った。
逢えなかった1年3か月の思いを込めて。
父さんの自宅に着くなり、玄関にみなみさんの荷物を放り投げ、靴もそろえず寝室に向かった。
ベッドで肌を重ねた二人は、思い出話にふけった。
思い出話をつまみに、買い込んだ酒を体に流し込んだ。
まだ火照り、汗が流れる体を冷やすように。
とはいっても、思い出話だけでは小腹は満たされないので、何かつまめる物はないかと冷蔵庫を漁ったが大した物はない。
「私、なにか作るわよ」
みなみさんが、そういい台所へ向かった。
台所にたつ、彼女の姿を見ながら、父さんは幸せを嚙み締めた。
「ああ、この時間が一生続けばいいのに」
みなみさんが作ってくれた、野菜炒めを胃の中にかきこみ、お酒で流し、またかきこむ。
小腹も満たされ、外を見るともううっすら明るくなっていた。
時計を見ると、4時30分を少し回ったところだった。
あいにく今日は休みだ、みなみさんと昼までねて、午後からはまた一緒に出掛けようと約束しベッドへ向かった。
ふと、目が覚めた。
時刻は7時13分。
全然寝ていないのに目が覚めてしまった。
隣には、みなみさんがスウスウと寝息を立てて寝ている。
父さんは、みなみさんを起こさないようそっとベッドから出てリビングへ向かい、何気なくテレビを付けた。

























正直、文章は拙い部分もあるけど、しっかり怖かった。ゾッとさせられた。もっと伸びてもいいのに!