子供が大きくなり、近くの公園でブランコをしていると、
「ねぇ、押して」と隣のブランコから聞こえてきたので、
「どこかの子がブランコしに来たのか。」と思い、咄嗟に隣のブランコを片手で押しました。
小さな背中、おそらく私の子供と同じくらいの子供だろうと感触で思いました。
しかし、視線を送ると、隣のブランコには誰も乗っておらず、ブランコだけがゆらゆらと揺れていました。
周りには多くの家族連れがいたのですぐに移動したと思いました。
私はその間、ずっと自分の子供を押し続けていました。
そして、私の子供のブランコだけを押すためにブランコの後ろに行くと子供はいませんでした。
焦って、周りを見渡すと、子供は同級生の子達と一緒に別のところで遊んでいました。
混乱し、ベンチに座り、ふとブランコを見ると小さく揺れていました。
それから、数日後。
私は子供といつも行く公園でブランコを押していました。子供は楽しそうに笑い、喜んでいると、「ねぇ、押して」と隣ののブランコから声が聞こえて、「よーし、いくよー」と私が2人の背中を押していました。
喜ぶ子供達の声を聞きながら、私は背中を押しているとブランコが勢いよく揺れ、グルグルと回り始めたのです。
新体操の鉄棒のように。一周、二周…と何度も回っていました。子供達は笑い続けて、私は止めようにも止められずただ呆然と見てるだけ。次第に鉄棒は上の鉄柱にグルグルと巻きついていきました。
私は汗をダラダラ流して、起き上がりました。
「夢…よかった…」
隣で寝ている子供を確認し、布団に入りました。
その日から毎週日曜日の夜になると、夜中耳元で「ねぇ、押して」と聞こえてくるようになりました。耳栓をしてもダメ。自宅以外で寝てもダメでした。
私はお祓いをしてもらい、自宅で寝れるようになりました。
しかし、しばらくすると、
「ねぇ、押して」と聞こえました。
私は、自分の意思とは関係なく、布団から立ち上がり、自宅を出て、歩いて公園に向かっていました。
その時の心境は、「あー、はいはい。わかったよ。」と子供にせがまれて背中を押す時の感じにくらいしか思いませんでした。
公園に着き、ブランコに行くと、
「ねぇ、押して」と聞こえ、背中を押し始めました。
しばらく押していると、「なんだか、今日は少し重いなぁ」と感じました。
はと、視線を降ろしてブランコを見るとそこには子供ではなく髪の長い女性が座っていました。
それを見た瞬間、我に帰り、
「うわぁー!だ、誰?」
と叫んでいました。
間も無くして、異変を感じた妻が後を追ってきたようで私のもとに駆け寄ってきました。
「なにやってるの!大丈夫?」
妻にはブランコに乗っている女性は見えていないようでした。
私が倒れ込んでいる時もずっと、
「ねぇ、押して」
「ねぇ、押して」
「ねぇ、押して」
「ねぇ、押して」
と1人でブツブツ呟いていました。
私は妻と2人で急いで公園を出ました。
公園が見えなくなるまで、
























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