シフト表を見て思い出したことが、翌日の月曜日の記憶はちゃんとあったことである。
いやいや当然のことだろうと思われるかもしれないが、これにはわけがある。
警備の仕事を知っている方はわかることかもしれないが、施設警備業務には「当務」
というものがある。つまりは当直勤務のことで4時間程度の仮眠とともに24時間勤務
をすることである。
そして概してそんな当務の日の翌日は「明け」と言って、朝の交代時間に勤務を終え
ればその日は休みという日が来るのが基本のシフトである。
自分が見たシフトのその日曜日の翌日は「明け」の日のマークが入力されていた。
ということは自分は日曜日に当務に入っていたことになる。
と、そこで自分は思い出した、というか認識し直したのである。月曜日の未明の段階
で自分はすでに勤務に入っており2時に仮眠に入り9時まで異状なく勤務したことを。
それでいて、その前日の日曜日の朝9時までに起床して出勤した記憶も、9時以降の
勤務の記憶も全くない。
つまり正確に日曜日の0時から24時までの記憶が抜け落ちていたのである。
現場のビルで宇宙人による誘拐でも起こったのかとも疑いつつ、帰宅して同居する
母親にも日曜のことを聞いてみた。
「母さん、そういえばこの前の日曜日はどうしてた?」
「ええと、確かあんたは勤務だったし、私は家で普通に過ごしてたと思うけど。」
さらに母に話を聞いたが、つまりは月曜日の朝に当務から自分が帰宅したことで
日曜日は普通だったと思っているわけで、日曜日に自身が何をしていたかは覚えて
いなかった。
どうやら勤務先のビルだけの現象ではないようである。
自宅の古新聞のラックで日曜日の新聞を探すが見つからず、さらには月曜日の新聞
もなかった。
あるいは全世界的に日曜と月曜の新聞がないのではないかという不安に駆られ、図
書館に行ってみようと思い家を出た。
やや距離はあるが電車やバスは使わずに歩いて行くことにした。30分ほど歩いて図
書館の近くにさしかかった人気のない道で声をかけられた。























怖いような不思議なような。リアルで面白かった
世にも奇妙な物語でありそうな話。
これは本当は実話で、『物語の体裁』を取った結果、こうなったのでは?