友達からの又聞き。
ゆいちゃんという子がいる。
彼女は本来双子で生まれるはずだったそう。
ただ何かの病気で片方の子が消えてしまったらしい。
結果ゆいちゃんは産まれたが片方の子は死んでしまった。
彼女の母親は随分悲しんだがそれでも産まれてきてくれたゆいちゃんを大事に育てた。
その甲斐もあり、ゆいちゃんは健康に育ち、今も元気に暮らしているのだとか。
小学生の頃、友達はゆいちゃんと遊んだ。
友達が新しい家庭用ゲームを買ったのでゆいちゃんを誘ったのだとか。
随分熱中してしまい夕方過ぎまで遊び通した。
(友達とゆいちゃんが親に連絡しあってたので門限は問題なかったらしい)
疲れ果てたゆいちゃんは一眠りつき、友達はゆいちゃんを起こさないようにまたゲームを始めた。
友達も疲れが出て来た頃だった。
「ああああああっっっヴヴヴあ」
溺れるようなうめき声。唸るようなその声はゆいちゃんからでていた。
友達は慌ててゆいちゃんを見ると、口からよだれをドロリと垂らして小刻みに震えていた。
溢れるよだれは止まらずに床を汚している。
友達は大泣きしてゆいちゃんを揺らして必死に起こそうとした。
ぷはあ、と息を吹き返すようにゆいちゃんが起きた。
安心やら恐怖やらでいっぱいいっぱいの友達は必死に抱きついた。
いきさつを話そうと友達がゆいちゃんをみると何かを悟ったような顔をしていた。そして今度は彼女が泣きそうになっていた。
友達はなだめるように落ち着かせ、ある程度ゆいちゃんは平静を取り戻した。
夢を見るの。
昔の事を。
ゆいちゃんがそう言った。
彼女の最も古い記憶。産まれる前の記憶。
ぽつぽつと話し出した。
暖かくて、ちょっと、どろっとした液体のなかで、鏡あわせのように誰かがいる。
とっても大事な子
ふと目を離した間にその子の体が揺れた。
揺れて揺れて、でももとの形に戻らない。
泡が漏れて、ぶくぶくともがくような感覚。
目の前で知らない何かが消えてしまう。
























双子の子を消したのは、このゆいちゃんだったのか?