途中、枝に引っかかって倒れた。
地面を這っていると、草の隙間から見えた。
自分の足元に、もう一つの足があった。
俺のふりをした何かが、背中にぴったりと重なっていた。
今、俺はこうして書いている。
ただ、それが本当に“俺”なのか、自信がない。
笑ってないか?
目が合った瞬間、あなたの背後の空気が冷たくなったなら、
もう遅い。
彼らは、忘れられたくなかっただけだった。
けれど、思い出された瞬間、
この世に“居場所”が生まれてしまった。
だから祈ってほしい。
どうか、死者の名を口にしないでくれ。
それが、あちらとこちらの境界を保つ最後の手段だから。
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