警察に行くべきだろうかとも思った。でも、何をどう説明すればいいのか、わからなかった。
そもそも、あの傘を――本当に、捨てたのだろうか。
確かに昨日、女から受け取った薄気味悪いあの傘を捨てたはずだ。
それでも、いま目の前にあるこの傘は、あれとまったく同じものに見えてしかたがなかった。
ゴミ袋を確認しようとも思ったが、週に一度の回収日はもう過ぎていた。つまり、もう、何も確かめようがなかった。
しばらく、玄関の明かりをつけたまま、靴も脱がずに立ち尽くしていた。
ただ、家のどこかに、あのときもらった傘と、ほんの少しだけ違う傘が、今もあるような気がして、それがなぜか、とても気味が悪かった。
前のページ
2/2
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 12票

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。