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呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

アソコが喰われる夢
長編 2025/05/08 09:58 10,109view
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その晩、白喰はゆっくりとその家に近づいていった。彼女が寝静まった頃、そしてその夢の中に潜り込むのは、白喰にとってお手の物だった。だが、白喰の目はただの観察者であるだけでなく、欲望を食らう者でもある。彼の目がその少女に向けられると、暗闇が彼女の周囲を取り囲み始めた。

夢の中で
その夜、少女は奇妙な夢を見た。

最初は、明るい日差しの中で歩いているような感覚に包まれていた。しかし、徐々に空気が重くなり、風が冷たくなっていく。周囲の景色が次第に不明瞭になり、目の前には何もない空間が広がっていった。足元がふらふらと揺れ、歩くたびに不安が募る。

そして、突然、彼女はそれに気づく。どこからともなく、低い声が響いてきたのだ。少女は振り返りたくなかったが、次第にその声は彼女に近づいてくる。足音も聞こえ、背後で何かが動いていることを感じた。

「……振り向いてみなさい」

その声は冷たく、強く、強制的に何かを引き寄せているかのように感じられた。少女は恐怖と共に振り向くと、そこには不気味な顔が浮かんでいた。無表情で、ただ深い闇を湛えた目が彼女を見つめている。

「誰……?」少女は震えながら声を出したが、その声は喉を通らなかった。

そしてその顔が徐々に形を成し、白い肌が現れ、何かを食い尽くすように彼女を見つめるその存在に気づく。

「私は白喰(しろばみ)……」

その声はもはや少女の耳に届かない。彼女の精神がその言葉を認識した時、周囲がすべて暗黒に覆われていった。

白喰は笑った。その笑いはどこからともなく響き、無限に続いていく。彼は少女の魂に触れ、そこから漂う欲望、孤独、恐怖をひとつひとつ吸い取っていった。その過程はゆっくりと、しかし確実に進んでいく。彼女が感じる恐怖は、彼の力を増していった。

目を覚ました後
次の瞬間、少女は激しく目を覚ました。汗で全身がべっとりと濡れ、心臓がバクバクと鳴っている。彼女は息を切らしながら、自分がただの夢の中にいたのだと必死に自分に言い聞かせた。しかし、何かが違っていた。

部屋の中に漂う奇妙な気配。まるで空気が張り詰めているかのような、圧迫感。彼女は目を開けると、真っ暗な部屋の中で、何かが蠢いているのを感じた。

「誰……?」

再び声を上げようとしたが、喉の奥が締め付けられているようで声が出なかった。急に全身が冷たくなり、足元がふらつく。思わず足を引きずりながら部屋の隅に向かうが、何かが彼女を追ってきている。目を合わせることなく、ただ漠然とした恐怖が彼女を包み込んでいく。

そして彼女は再び、あの笑い声を耳にする。

「私は……食べる」

それが現実だと知った瞬間、彼女は叫び声を上げることさえもできなかった。

白喰がこの世界に存在する理由はただ一つ。人々の心の隙間に忍び寄り、彼らの恐怖や絶望を食らうこと。そのために、白喰はどんな形にも姿を変え、人々を追い詰めるのだ。彼女のように、孤独や不安を抱えた者にとって、白喰は最も恐ろしい存在である。

そして、白喰はその夜もまた、何処かで新たな獲物を探している

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コメント(1)
  • んだよ!本番なしかよ!金返せ!

    2025/06/27/03:34

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