布団がめくれ、目の前に現れた“それ”の姿に、ナツキは息を呑んだ。
顔のない女だった。
全身が濡れた黒髪に覆われ、顔の位置にはぽっかりと“口”だけが浮かんでいた。
白く、ぬめりと光りながら、笑っていた。
「君の味は、特別だね」
その声と同時に、“舌”がナツキの喉元まで這い上がってくる。
息ができない。
怖い。でも逃げられない。
それよりも、なぜかナツキの身体は、どんどんそれを“求めて”しまっていた。
絶頂寸前で目が覚めた。
全身汗まみれ、心臓が壊れそうなほど脈打っている。
ベッドサイドを見ると、スマホが光っていた。
メッセージが届いている。
「また、味わわせてね」
添付された写真には、ナツキが寝ている間に撮られたとおぼしき写真。
そこには**自分の下半身に舌を這わせる“白い口”**が写っていた。
悲鳴も出せないまま、ナツキはスマホを投げた。
けれど画面は消えず、
再び、あの動画が自動で再生された。
ナツキの頭に、ある感情がよぎった。
「……もう一度、あれが来るのを待ってる……?」
自分の中に、“彼女”が入り始めている。
心も身体も、徐々に白喰に呑まれていく。
その夜、白喰は満月の光を受けて静かに目を覚ました。闇の中で静かに眠っていたわけではない。彼はただ、人々の欲望、恐れ、そして絶望が集まる場所にずっとひっそりと潜んでいた。今夜、再びその力を解き放つ時が来たのだ。
白喰は長い時間、無言で人々を観察していた。街の喧騒、そして人々の忙しさが彼にとっての「食料」となり、次第にその思念が集まり、渦を巻くように彼に引き寄せられていた。ひとつひとつの悲しみ、欲望、怒りが集まり、彼の力を強める。
その場所に目をつけたのは、ほんの偶然だった。小さな村の外れにある、一軒の家。白喰がその家に気づいたのは、家の窓から漏れ出る光に照らされている一人の少女がいたからだ。彼女は静かに本を読んでいたが、その目の奥にはある種の絶望が垣間見えた。彼女の心の中には、かすかな不安とともに、深い孤独が隠れていた。それこそが白喰が探していたものだった。
「彼女だ……」白喰は微笑みながら呟いた。
























んだよ!本番なしかよ!金返せ!