なのに、落書きが、ない。
1階のような悪ふざけの跡が一切ない。
まるで「ここには触れてはいけない」と誰もが感じたような――沈黙の圧。
本能が、逃げろと言っていた。
それでも俺は、撮れ高を優先した。
数歩、部屋に踏み入れ、撮影を続けた。
撮影の間も悪寒がしていたがある程度撮り終わって帰路に着いた。
……その夜。動画を編集していると、異変に気づいた。
あの部屋だけ、映像の“色”が違う。
撮っているときは気づかなかったのに、編集ソフト越しに見ると、まるで画面が薄く腐っているような、静かに滲むような気味悪さがある。
そして、翌朝に投稿したその動画はいつになく伸びていた。
ライブ配信を始めると、チャット欄は異常な速さで流れ続けた。
視聴者が言う。
「今までで一番怖かった」
「本物が映ってた」
「さすがにヤラセ?」
マネキンの頭と編集で入れた声がそんなに怖かったかな?
俺はそう思った。
しかしその後流れてきたコメントに思わず目が止まった。
「後ろからついてきてるよ」
……後ろ?
慌てて配信中に自分の動画を開き、例の部屋のシーンまで飛ばす。
画面の中、俺が部屋から出て、廊下を歩き出す。
数歩進んだその瞬間――
奥の部屋から、“何か”が出てきた。
女。
髪は濡れたようにベタつき、顔は白いというより“色がない”。
痩せた頬、裂けるような笑み。
それが、俺の背後をゆっくりと――ぴったりと、追っていた。
しかも、カメラに向かって笑っていた。
口角が耳元までつり上がり、目は大きく見開いて瞬きもせずカメラを見つめていた。


























Mattyakowai!
女の人こわ!
こういうの好き
怖いなあ