「母さん、それは忘れ物じゃないよ!」
母は何も言わなかった。
「母さん?」
「もう私を…」
それは母の声ではなかった。
「置いていかないでね」
お腹が熱くなり、俺はその場にしゃがみ込んだ。
僕の腹には包丁が刺さっていた。
「なんで……?」そのまま意識を失った。
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目を覚ますと、母がベッド脇の椅子に座り、手で顔を覆って泣いていた。
ここは病院か。僕は救急車で運ばれたようだ。
聞くと母はその時間はリモートで会議をしており、ずっと家にいたらしい。ではあの母は誰だったのか。
あの時聞いた声は確かに母ではなかった。ではなぜ母に見えたのか。「置いていかないで」とはなんだ。あれは「カナエ」だったのか?
本当に怖かった。あのiPhoneはなんとしてでもこの手から離さなければならない。そう思った。
「あ、あんたそういえば」母が口を開く。
「これ、大事そうに持ってたみたいだよ。」
そう言って母は中古で買ったiPhoneを僕に手渡した。
僕は母から差し出された物を凝視して、「それはもう要らないんだ。捨てるつもりだよ。」と言って母の方に向き直る。
しかし、それは母ではなかった。
あのiPhoneの写真アプリに入っていた、不気味な生成AIの女。目の焦点があっていない、やけに不気味な笑顔の女。しかし目の前にいる”ソレ”は全く笑っていなかった。驚くほど無表情な顔をしていた。
無表情な冷たい顔で、機械のような抑揚のない声が病室に響く。
「私 を 捨 て る な」






















うーん、さすが愛知県民。駄作。