「カナエさんは今、愛知県名古屋市▉区▉▉ 1-▉ ▉▉▉201号室にいます」
血の気が引いた。僕が住んでるアパートの住所だったから。iPhoneの電源を落とし、無造作に投げた。
早く忘れよう。誰かにこの話を聞いて貰って、そんなのは何でもない事だと。今の不思議な体験はただのバグだよとそう言ってもらいたかったが、生憎友達はいない。母に話してもスマホに疎すぎてあまり理解してくれないだろう。
気持ち悪くて、買ったiPhoneに触ることも無いまま、
風呂入って飯食って寝た。
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怖かったことも、目が覚めると忘れていた。
今日は土曜日だが、バイト。バイト先は電車に乗って2駅ほど行った所にある。
駅のホームでAirPodsが無いことに気がついた。でも大丈夫。こんな時は「探す」機能がある。この機能を使えば、紐つけられたAirPodsとかのApple製品の居場所を見ることが出来……
さすがに血の気が引いた。AirPodsはどうやらカバンの中にあるらしいのだが、そんなことより「カナエ」が何故か登録されている。しかも、家に置いてきたはずなのに、「カナエ」の現在地は家を指していない。
「カナエ」は、家と駅の中間あたりにあるみたいだ。
こちらに向かって来ている……?
昨日の怖かったことを鮮明に思い出し、身の毛がよだつ。
そうしてるうちに電車が着く。迷わず飛び乗る。
車内でも「探す」アプリから目が離せなかった。
しかも「カナエ」結構早い。もう俺がいた駅にいる。ゾクリと背筋が凍る。
目的の駅に着いて、走ってバイト先に。おかげでいつもより五分ほど早くついてしまった。
店長に、今日はやけに早いな!といじられたが、愛想笑いすら浮かべられる余裕もなかった。
急ぎ足でロッカールームに入り、「探す」を開いて「カナエ」の位置を確認する。もう最寄りの駅に着いている。
どうしよう。このままだと、ここに来てしまうような気がする。
でも、ここでばったりと会うよりは、まだ逃げ場のある外で会った方がいいのかもしれない。
やけに妙なことを考えるものだ。しかし、実際それしかない気がして、いてもたってもいられない。
店長に一言言って外に出る。アプリを開き、「カナエ」の位置を見る。もうすぐそこだ。
怖かったが、どうせ待っていても現れる。早くこんな馬鹿げたことを終わらせたい気持ちが大きくなり、意を決してそこに向かう。すぐにアプリが示す位置についた。
そこには母がいた。
部屋にあれが置いてあったから、スマホ忘れたと思ってわざわざ届けに来てくれたのか。
なんだかとても安心して、おかしくなってきて、笑顔で母の元に駆け寄る。























うーん、さすが愛知県民。駄作。