夢だった。…今度こそ。
汗びっしょりで布団をめくると、シーツの裏に何かが貼りついていた。
紙。
白い紙に、手書きでこう書かれていた。
「おきるな」
そこから毎晩、同じ夢を見るようになった。
目の部屋。
あの人影。
夢の中で俺は逃げようとするけど、どんなに走っても、目の前に“あの目”が現れる。
目を覚ましても、鏡に映る自分の額に、何かが描かれているような痕がある。
数分すると消える。でも、毎朝そこにある。
今日、ついに夢の中で、目が俺の名前を呼んだ。
低い声で、はっきりと。
「おきたね」
現実に戻っても、部屋が少しずつ変わってきている気がする。
壁紙の模様が、目に見える。
窓のガラスに、指の跡がついてる。
スマホのカメラが勝手に起動して、黒い画面に…俺の後ろの何かが映ってる。
今は夜中の3時。眠いけど、寝るのが怖い。
寝たらまた、あの目に会う。
でももう、夢じゃない。
だって、あの目が今――ドアの向こうから、俺を見てる音がする。
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めちゃくちゃ怖いー