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ヒトコワ

小夏さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

子どもの頃、お母さんに捨てられそうになった話。
長編 2025/04/05 01:24 7,552view
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両親がなぜ離婚するのか、父はこれからどうするのかなど、一切説明してもらえず、大人だけで事が進められて、とにかく不安だし悲しかった。

母の地元へ父が嫁ぐような形で結婚していた為、離婚して母に着いて行っても、全く別の環境へ移るとか、転校する必要がなかったのがせめてもの救いだった。

でも、学校から帰ってきてからのわたしの生活は、大きく変わった。

専業主婦だった母は、離婚後すぐに働き出し、それまでは、学校から帰ると母が優しく出迎えてくれていたのが、逆に、疲れた顔をして帰ってくる母をわたしが待っているようになった。
手作りの夜ごはんは、スーパーのお惣菜やお弁当になった。

今では本当に申し訳なく思っているが、当時わたしは物分かりの良い賢い子どもではなかったので..
急に変わってしまった環境に我慢できず、わがままを言ったり、癇癪を起すことが増えた。

父が、わたしとは別々に生きるという決断をしたことも、

優しかった母が毎日疲れ切った顔をしていることも、
離婚までの間、蚊帳の外にされたことも、
何もかもが納得できず、でもどうすることもできなくて、
上手く消化できない感情に飲み込まれている感じだった。

日常生活の中で、母と交わした小さな約束を破られただけで、
大声で叫びちらし、部屋の物を片っ端から投げて暴れることもあった。

頭のどこかでは、今、母も大変だと分かっていて、
ちゃんと協力したいのに、溢れ出てくる不満をコントロールできなかった。

男手もないので、一度癇癪を起したら止まらず、
ご近所中に響き渡る声で母をののしったり、泣き叫んだ。

母も母で、そんなわたしに対して段々と投げやりになっていった。

今なら分かるが、母は強い人ではなかった。
当時の母は30代前半だったが、生きる上での芯とか軸みたいなものを持っている人ではなかったと思う。

父と別れ、急にフルタイムで働くようになり、家では子どもが暴れ…
凄く大変だったと思うし、ごめんなさい、その苦悩の一因は、わたしにあるのだけど、でも、あんな風に我が子を捨てるなんて考えられない。
それ以上にわたしが要らなかったのか。

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