夜中に目が覚める。だいたい2時頃だ。
寝酒が原因なのはよくわかっているが、晩酌が日々の唯一の楽しみなのだから仕方ない。
幽霊などさらさら信じていないが、本能からか暗所は不気味だと感じる。電気をつける。
1DKの部屋。申し訳程度に料理ができるキッチンの前にトイレがある。
いや、けっして怖がっているわけじゃない。が、トイレのドアは開けっ放しにする。
………
視線を感じる。部屋のどこかが軋む音がする。気のせいだと言い聞かせ、振り返る。やはり何にもない。キッチンがそこにあるのみ。
ただ、つけたはずの部屋の電気が消えてしまっていた。電気をつけながら、大袈裟に鼻歌を歌う。
決定打に欠けるが、こういうことが夜中2時頃にトイレに起きる度に起こる。
あるときは鏡に不自然な影も映り込んだ。
休日昼間部屋に居続けても特に何も起こらない。
家賃が相場より安かったけれど、格安というほどでもなかったし告知もなかった。
だからきっとこの部屋では何も起こっていないのだろう、だいたい2時頃に起きなければいい話だ。
晩酌が唯一の楽しみなのだから仕方ない……。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 2票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。