藤崎は、優しく、けれど絶対的な声で囁いた。
翌日、高橋は町の老人に尋ねた。
「あの家の二階には、亡くなった旦那がいるんだよ」
「……え?」
「十年前に旦那が死んだとき、藤崎さんはこう言った。『あの人は、まだ家にいるわ』 ってな」
—— でも、それは 彼女が殺したから じゃないのか?
背筋が寒くなった。
彼女は、夫を殺した記憶を反芻し、自慰をしている——。
あの白い彼岸花の下には、きっと夫の遺体が埋まっている。
そして彼女は、夜ごとにあの部屋で——。
夫を殺した夜を思い出しながら、快楽に震えているのだ。
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