僕は何をしているんだろうと思いながら、並んでいた。
僕の前に居たグループがタクシーに乗り、次は僕たちの番。
僕「部長、先輩、次ですよ!」
と振り返り声を掛けると、2人ともベンチに座って項垂れている。
マジかよふざけんなよとも思ったが、声を掛け続けた。
僕の呼びかけに気付いた先輩が、
先輩「部長、部長!順番が回ってきたようですぞ!」
部長「んあ。ああご苦労、帰るか」
貴方たち何もしてないよね・・・僕がずっと立ってたんだからね?
僕たちが乗るタクシーが目の前に停まったのだが、僕は違和感を感じた。
というのも、これまで来てたタクシーは、「トヨタ クラウンコンフォート」という、よくあるタクシーの車種なんだけど、目の前に停まった車は古い日産のローレルというセダン。
屋根にはタクシーの看板付いてるけど見たこと無い会社で、タクシーによくある「空車」や「賃走」と表示される電光プレートには「ヰ〇ヶ」と文字化けした表記になっている。
僕「・・・・・何だこのタクシーは・・・・・」
後ろのドアが開いたが、何だろう・・・すごく乗りたくない・・・。
すると後ろから部長と先輩がやってきて、ドカッと席に座った。
部長「何してる。お前は助手席に乗れ、さっさと帰るぞ」
先輩「部長をお待たせするんじゃないよ」
と言い、早く乗るよう促されたが、どうしてもこの車に乗りたくなかったので、
僕「・・・すいません、ものすごく吐き気がするので先に帰ってください・・・」
と乗車を拒んだ。
部長「んだよだらしねぇなあ」
先輩「ほんとですね。おい、明日休むんじゃねぇぞ」
そう言い残し、そのままそのタクシーは行ってしまった。
僕はタクシーの列に並びなおし、いつものクラウンのタクシーが来たので乗り、無事帰宅する事が出来た。割り勘じゃなかったので費用は掛かったが・・・正直、あのローレルのタクシー(?)に乗るのは抵抗が有ったから仕方ない。
帰宅後は玄関先で寝てしまった・・・正直限界だったからね。
翌日。僕が出社したら部長と先輩の姿は無かった。
課長の話では、「2人の家族の話では、昨日家に帰らなかったらしい。何か知らないか?」
と聞かれたが、「一緒に飲みに行き、僕は体調を崩して別のタクシーに乗ったので、そこまでしか分からないですね・・・」と答えた。嘘は言ってない。
それからしばらくしても2人は帰って来なかったため、2人の家族が捜索届を出した。
行方が分からないまま1か月が経った頃、僕の携帯に着信が入った。
マジでヤバイ
鳥肌やばいです
タクシーで、どこを走っているんだろう……