人形に近づき、ひょいと持ち上げたのです。
その人形は、綿でできたテディベアのような大きさで
、とても軽く、幼児の私でも軽々と持てるものでした。
しかし、その赤い着物は、その小さな市松人形の大きさとは相反するもので、
とても長く、人形を持ち上げてもなお、床に着くくらい垂れ下がっていました。
すると、人形を持ち上げてから数秒後、どこからともなく、
笑い声が聞こえてきたのです。
「キャハハ、キャハハ」
子供のような声で、けたけたと笑っているんです。
砂のお城の中で、反響するかのように「キャハハ、キャハハ」と。
咄嗟に私は、「この人形が笑っているのか」と思いました。
とても怖くなり、人形を投げ捨てて、階段を走って上りました。
夢なのに、思い出しただけで鳥肌が立つくらい、あの時の心境まで思い出せるんです。
しかし、夢はまだ続きます。
ひたすら上ります。
また平らになったり、下ったり、上ったり下ったり。
そして、また同じ空間に来てしまいました。
そこには、さっき投げたはずの人形が、ちゃんと立って置いてあるのです。
もう、わけがわかりません。
顔が引きつっているのが、鏡を見なくてもわかるくらい強張っていました。
そして明らかに違う点が、一つありました。
この話は怖かったですか?
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