奇々怪々 お知らせ

不思議体験

りょりょさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夢の先
長編 2025/02/02 22:24 9,538view
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市松人形が、先ほどよりも大きくなっていました。

私の体の半分くらいの大きさでした。

私は大声を出しながら、泣きながら、母を呼び、
「ごめんなさい、ごめんなさい」

と何かに謝りながら、走っていました。

途中、靴が脱げてもお構いなしに、靴下のまま走りました。
また同じ場所に戻ってきてしまいました。

また走る、また戻る。
少し大きくなった人形と笑い声。
また走る、また戻る。
さらに大きくなった人形と笑い声。
また走る、また戻る。

そこには、脱げた靴と、さらに大きくなった市松人形。
もう、私と同じくらいの大きさでした。

笑い声が少しずつ低く、ゆっくりになって聞こえます。
体力の限界でした。
もうダメだと思いました。

もう帰れなくなっちゃった。
もう父や母に会えないんだと思い、とても悲しくなり、
先ほどまでの「怒られてしまう恐怖」や「人形に対する恐怖」とは違う涙が出てきました。
私は、人形を睨んでいたと思います。

その人形は、ニヤニヤと笑っていたように感じました。
悲しい気持ちと同時に、その人形が憎く感じました。

4/10
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