入店する。
店員の装いは…オリエンタルであるとまとめようか。
割烹着からアオザイのような民族衣装までバラバラだ。
接客は日本語で対応され、席へ案内される。
この「席」が異様なのである。
小学校の教室の児童用の学習机の椅子だ。
しかも机が無い。
そして壁際に配置されている。
つまり私は壁を背にぴったりとつけて、ちょこんと待たされるのだ。
不服はない。
これはこの店の特徴の一つである。
内装が来るたびに変わるのだ。
座敷であったり立ち食い形式であったり、中華レストランのような卓と椅子が
設えられていたり、そもそも何もない施工中のような殺風景だったりと様々だ。
私は如何なる形式でサービスを受けることになろうとも、何の不満も無い。
このあたりも、夢特有の感覚であろうか。
「お待たせ致しました。」
男性店員が、ドームカバーのされた皿を運んできた。
私は座して次を待つ。
カバーが外される。
香り立つ薄煙。
濃厚な肉汁。
かすかに焼け目のついた外観。
添えられた副菜。
楕円形に配されたそれ。
踊り狂う触手。
艶やかな複眼。
「失礼致します。」
店員がそれを、私の顔に近づける。
私も心得ている。
上を向く。
まだ熱いそれを、顔の上に乗せられる。
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