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不思議体験

俺的な人物さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夢中の常連
短編 2025/01/23 12:50 421view

入店する。

店員の装いは…オリエンタルであるとまとめようか。
割烹着からアオザイのような民族衣装までバラバラだ。

接客は日本語で対応され、席へ案内される。

この「席」が異様なのである。
小学校の教室の児童用の学習机の椅子だ。
しかも机が無い。
そして壁際に配置されている。
つまり私は壁を背にぴったりとつけて、ちょこんと待たされるのだ。
不服はない。

これはこの店の特徴の一つである。

内装が来るたびに変わるのだ。

座敷であったり立ち食い形式であったり、中華レストランのような卓と椅子が
設えられていたり、そもそも何もない施工中のような殺風景だったりと様々だ。
私は如何なる形式でサービスを受けることになろうとも、何の不満も無い。
このあたりも、夢特有の感覚であろうか。

「お待たせ致しました。」

男性店員が、ドームカバーのされた皿を運んできた。
私は座して次を待つ。
カバーが外される。

香り立つ薄煙。
濃厚な肉汁。
かすかに焼け目のついた外観。
添えられた副菜。
楕円形に配されたそれ。
踊り狂う触手。
艶やかな複眼。

「失礼致します。」

店員がそれを、私の顔に近づける。
私も心得ている。
上を向く。
まだ熱いそれを、顔の上に乗せられる。

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