さらに後日。
会議室に現れた金子さんは、見るからに憔悴しきっていて、
心ここにあらず、という状態だった。そんな様子なので、会社中の噂になった。
どうやら、奥さんが出て行ったらしい。
そんな時でも金子さんの左手には、変わらず指輪が光っていた。
優しい性格の彼は、同期から聞いたようなひどい目に遭っても変わらず奥さんを愛しているのだろう。
さすがに心配になって声を掛けると、
金子さんは「僕が悪いんです……」と言って、力なく笑った。
無事にプロジェクトが終了し、
それから何カ月か経ったある日。
社内報で、金子さんの奥さんが亡くなったことを知った。
例の同期にこっそり詳細を尋ねると、
どうやら金子さんの元へ戻って来た奥さんが、
階段から落ちて、打ち所が悪く、そのまま亡くなったらしい。
前に、奥さんに出て行かれた時の金子さんの落ち込みようを見ていたので、
今回のことは相当辛いはずだ。俺は金子さんの心情を思い、
「かわいそうだな……」と言うと、
同期は、「ああ。カッとなってやっちゃったのかな。金子さん、やたら沸点が低い時があるし」とつぶやいた。
同期の話は不謹慎にもほどがあるし、そして俺の知る金子さんのイメージとかけ離れていたので、誰のことを言っているのか一瞬わからなかった。
ちょっとしてから理解が追いついて、「まさか」と笑い飛ばそうとしたとき、
金子さんが何度か言っていたある言葉を思い出した。
「僕が悪いんです……」

























殺ったなぁ
あんまいみがわからん