奇々怪々 お知らせ

意味怖(意味がわかると怖い話)

チョコラブさんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

夜の病院
短編 2025/01/13 23:23 912view
0

「やめて…!助けて!」
「痛いッ…!殺さないで!」

――人間の悲鳴とは思えなかった。
私は耐えきれなくなり、職員の背中を突き飛ばして走り出した。

病院内は迷路のようだった。どこまで走っても同じような廊下が続く。
方向感覚が狂い、逃げ場がないことに気づいた頃、ふと視界の隅に動く影を見た。

そこにいたのは、長い黒髪の女だった。
顔は異様に青白く、患者服は血で染まっていた。

彼女はゆっくりとこちらを見つめ、震える声で囁いた。

「…どうしてここにいるの?」
「助けて、助けて、助けて…」

その声はだんだんと狂気を帯び、耳元で響くようになった。
気づけば、彼女は這うように私に近づいてきた。
目は黒い穴のようで、底知れない闇が広がっていた。

私は恐怖で足がすくみ、全力で逃げ出した。
どこへ向かっているのか分からない。ただ、あの女から逃げなければならなかった。

――そして、気づいたときには、自宅のベッドで目を覚ましていた。

夢だったのか?そう思ったが、心臓は激しく鼓動し、汗でシャツはびっしょり濡れていた。
安堵したのも束の間、ふと枕元のスマホに通知が届いていることに気づいた。
画面をのぞき込むと、そこには見覚えのない通知が表示されていた。

「こんばんは、渡邉隆志さん。あなたは――」

その瞬間、背筋に氷のような冷気が走った。
そして、耳元で囁く声が聞こえた。

「次は現実よ。」

振り返ると、そこには――あの女が、いた。

2/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。