自殺失敗

岩にぶつかったのか、足がぐちゃぐちゃにひん曲がってる。
鼻、口から血をだらだら垂らして、顔が真っ赤に染まってる。

思っていたより高さがなく、落下の衝撃で死にはせず気絶し、
波を被ったりした影響で目が覚めたのだろう。

外傷は主に足がひどそうで、意識ははっきりしているようだった。

痛い！！痛い！！！と叫び続け、俺らはどうしようもなくただ慌てていた。

救急車を呼ぼうにも、ここは圏外。
仕方なく2人を残し、俺ともう一人で電波がある場所を探し続けた。

車で少し山を下りると、電波が通じたため救急車に連絡。
「崖から女性が自殺を試みたようですが、生きています。Xキャンプ場です早く来てください！」

そういうと、救急車とーーー隊（多分レスキュー隊って言ったのかな？）を派遣しますと。

俺らは崖の上から、
「今助けを呼びましたからねーーー！！！海に流されないように掴まっててください！！！」
とか、励ますような言葉を叫び続けた。

女性はもう何も叫ばず、ただじっと岩場に掴まっていた。

1時間ほどして、駐車場に赤いランプが見え、案内するため駐車場に走った。
レスキュー隊と合流し、レスキュー隊がなんか長いロープのはしごみたいなものを持って、
現場へ急いだ。

女性に声をかけ続けていた友人が、黙りこくっている。
どうした！？と聞くと、

「たった今、流されたよ・・・」
「ずっと岩場にしがみついてたんだけど、高波が来てさらわれてった・・・」
「まだ生きてたから、しばらくもがいてたけど、、たぶんもう・・・」
「俺、なんもできんかった・・・」

と涙を流し始めた。

警察やレスキューには俺らのいたずらを疑われたが、
女性の特徴が1週間前から失踪していた女性のものと一致し、
その女性の部屋からは遺書が見つかったことにより、俺らは不問となった。

女性の遺体は見つかっておらず、岩場にいた女性を見たのは俺たちだけ。
未だに行方不明者として捜索願いが出されている。