10帖はある広々としたリビングには毛足の長いベージュのカーペットが敷き詰められていて、明るく清潔な雰囲気を醸し出していた。
手前にはアンティークなダイニングテーブルが、奥には豪華なソファーセットがある。
桜庭がそこにこちら向きに座り、にこやかに微笑んでいた。
「まあ座れよ」と、目の前のソファーを薦める。
それから俺たちは向かい合いコーヒーを飲みながら10年の空白を埋めるかのように、仕事のことプライベートのこと様々なことを話した。
相変わらず互いに独身で、俺は今彼女がいるが、桜庭は最近長く付き合っていた女性に振られたらしい。
長く住んでいたぼろアパートを引っ越したのも、彼女への未練を断ち切りたかったということだった。
話が一段落ついたところで、俺は気になっていたことを彼に尋ねる。
「ところで、ここってすごく高級な感じなんだけど、間取りとか家賃は?」
コーヒーを飲み終えた桜庭がニヤリと微笑むと口を開いた。
「間取りは4LDKで、このソファーセットも向こうのダイニングテーブルもエアコンも、主な家財道具は全て最初からオプションだ。
しかも最寄りの地下鉄までは徒歩1分。10階だからサッシ窓からの眺めは最高なんだ。
それで家賃は、、、」
ここで彼は一息つくと、俺の顔をまじまじ見ながらキッパリ言った。
「税込4万」
一瞬場の空気が止まる。
俺はしばらくあんぐりと口を開けっ放しになった後、ようやく一言「嘘だろ?」と返した。
























キモっ(褒め言葉)
コメントありがとう
━ねこじろう
そろそろ大賞受賞してもいいでしょう!?
応援ありがとうございます
━ねこじろう
なんとなく気持ち悪かったけどかなり面白い話だと思います
蜘蛛のほうが怯えてるんかい!
ヤバい蜘蛛女より余っ程怖い友人だな。俺なら縁切る
蜘蛛女かよキモイ
なぜ蜘蛛を彼氏の代わりに飼おうと思ったのかが理解出来ないのだが?
ありふれた事故物件に関する怪異を逆手に取った良作だと思いました。
一捻りあるこういった作品 好きです。
皆さん様々なコメント、ありがとうございます
━ねこじろう
うわああああ…😭なんか、めちゃくちゃ切ないラブストーリーじゃん…!!
怖い見た目のあの女の子に、桜庭の深い想いが絡みついてる感じ…ホラーと哀愁がミックスされて、すごい胸がぎゅっとなるわ😢💔
でも、桜庭の「これから一緒に暮らそう」って決意、なんか優しさも感じて…なんか人間味溢れてる…✨
こわ
怖いようで、特殊な愛の形として調和がとれていて、不思議な『好感』が持ててしまった。
↑蜘蛛女だぞ
愛は怪異をも恐れさせる。桜庭氏の愛は成就してほしいが。
怪異より桜庭氏の方が怖いという意外な展開ながら、桜庭氏の恋がぜひとも成就してほしいという気もする。
怪異が相手ながらこの恋が成就してほしい。