モデルが良いとカメラも贔屓するらしい。
俺はその写真を携帯の待ち受けに設定すると従業員に扮した鎖を連れて廊下へ出た。
「貴方はあの壁に張り付いてる奴の正体はなんだと思う?」
「え?正体?うーん」
鎖と一緒に従業員用エレベーターを降りてる時、ふと鎖が聞いてきた。
正体だって?
そもそも正体なんてあるのか?
あったとしてもそれを知る手段なんてあるのか?
疑問は尽きない訳だが、質問に質問で返しても仕方ないので俺は俺なりに考えてみた。
壁に張り付き、成長をし、排便をする。
そんな俺の知っている限りのあの霊の情報をまとめてみると、俺はなんだか木に張り付いて樹液を啜っているカブトムシを連想した。
ほとほとまともな憶測からは脱線してしまっているが、そもそも皆目見当も付いていないので、言ってみた。
「カブトムシ?」
一応ボケのつもりだったのだが、鎖はというと「ほ〜?」と何やら関心するように感嘆符のような物を漏らしていた。
「貴方にしてはいい回答じゃない、褒めてあげるわ」
わざとらしいジェスチャーで拍手してくる。
どうやらミジンコ程度にしか期待してなかった俺が思った以上にいい線いってる回答を挙げたのでその答えに満足しているようだった。
しかし俺はと言うと適当に言った回答に花丸を付けられてしまったせいで余計にアレの正体が分からなくなってしまったのだった。
だがまぁ久しぶりに鎖に褒められたので、悪い気はしなかった。
地下通路。
従業員用エレベーターで地下2階へ降りる。
1号棟と2号棟は地下で繋がっており、ここは普段様々な従業員が一同に利用している従業員用地下通路なのだが。俺も仕事中よく利用するが、すれ違う人達に目を向けると、同じメイド服を着ているのに全く顔を合わせた事がない人や、恐らく普段芸者などをやっている和服を着た女性やら、食材の返り血を浴びたらしきコックコートを身にまとったおじさんやら、とにかくその通路を往来する人間の色は多岐にわたる。























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?