たまたま図書委員になり、図書室で受付をしていた俺はそんな彼女に興味を持った。
最初は話しかけても無視されてしまった気がするが何度も話しかけているうちに打ち解けていった。
俺の声が好きとかで俺はよくその子に本の読み聞かせをしてあげた。
俺が『今日はこの本を読もうか』と提案する度どんな本を持って行っても彼女は飛び跳ねるように喜んだ。
そんな風に喜んでくれる彼女の姿が嬉しくて、様々なジャンルの本をたくさん読み聞かせたのを覚えてる。
彼女と親しくなってから、二学期ほど過ぎた辺りだったか、彼女にはひとつの癖ができていた。
彼女は俺の顔を両手で撫でるように触りながらこう言うのだ。
『他の人は見れなくてもいいから、君の顔だけは…死ぬまでに見てみたいな』
目をつぶりながらニコニコと嬉しそうにそう言うのだ。
それは叶わない事だと自分自身が1番分かってるはずなのに。
それを聞く度に、無責任な同情だとは分かっていても、俺はどうしようもなく悲しい気持ちになってしまうのだった。
中学2年に上がり俺はテニス部のエースになった、関東大会まで進める実力を付け放課後の練習は過酷な物へとなっていった。
暇な時間は全てスポーツにぶつけて行った俺は霧島と図書室で触れ合う時間も日に日に少なくなって行った。
中学3年に上がると霧島は学校に来なくなった。
不登校というやつだ。
俺はそんな霧島の事が少し気になってはいたものの自身の部活動も集大成に入り霧島に会いに行ってやるなどといった行動力は湧かなかった。























えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?