こけし人形
投稿者:やうくい (37)
祖父がこけしを持ち帰ってきた日、祖母はこけしを見た瞬間冷や汗が止まらなくなったそうです。祖母には小さいながらも霊感があるため、なんとなく怖い場所には近づかないようにしていたそうですが、そんな事は初めてだった、とのこと。
もちろん祖父にも捨てるようお願いしましたが、頑固だった祖父は全く相手にもせず、長年書斎に飾られていたようです。
祖母の見立てでは、こけしは条件を満たすと何かを呼び寄せる類の呪物のようで
邪気を放ちながらも、全く何の現象も引き起こさなかったため、祖父の書斎にある間は安全だった、とのこと。
しかしながら祖父が亡くなり、叔母が家に持ち帰り、甥が手に持った事で条件を満たしてしまったため、甥は消えたのだろうと。
私はその話を聞いて、甥が言っていたあーちゃんの事を思い出しました。
あーちゃんは座敷わらしなんかではなかったんじゃないか。もっと邪悪な何かだったのではないだろうか。
祖母にその話をすると、こう返されました。
「座敷わらしなんてあの家にいるはずない。たぶんそれこそが、こけし人形が引き寄せた何かだろうね。年末のあの日に甥ちゃんが持ってるのを見て必死で止めたんだけどね。あの女に鼻で笑われてしまったよ。」
一説では、こけし人形とは口減らしした子供を弔うために作られた物とも言われます。
もしかするとあのこけし人形は、曰く付きの物だったのかもしれません。
小芥子と書いてこけし。昔は縁起の悪い漢字を適当な漢字に変えていたそうですが、子消しと書いてもこけし。気のせいだと良いのですが。
その日以来、甥は見つかっていません。
おもしろかった!読みやすいし、ちょうどいい長さですね。
子消しと小芥子。怖い!!