シリアルキラーは伝染する
投稿者:とくのしん (65)
「お前が病弱なのはエリックが生まれるときに、全てをお前から奪ったためだ。今からでも遅くない。全てを取り返せ」
悪魔は自分と契約し、エリックから全てを取り返すよう持ち掛けた。10歳ながら自分の境遇に絶望していたこともあり、悪魔と契約した。
「悪魔の力を借りて呪いをかけたんだ。その甲斐あってか、兄エリックはすぐにこの世を去ることになった」
手紙のやり取りをするなかで、ロンは独自にデイブの生い立ちを調べた。確かにデイブは農夫のもとに生まれている。しかし、双子の兄がいたという事実は見つからなかったのである。このことをロンは手紙で問い詰めた。するとデイブは「悪魔に記憶を操作されている」と言い出した。
ロンは結論づけた。デイブは単なる妄想家だと。妄想の果てに自分は悪魔に憑りつかれ、殺人を犯した猟奇殺人犯と結論づけた。そしてロンはデイブ本人と直接会ってみたいと考えたのだ。ロンの父親は精神科医の開業医であり、自分も幼少の頃からそういった患者を目の当たりにしてきた。大学で心理学を専攻し優秀な成績を収めてきたことから、デイブを手中に収めることができると考えていたのだ。
そしてロンはついにデイブとの対面を果たす。手紙でのやり取りをしていたこともあり、お互いはすぐに打ち解けることができた。看守立会のもと、終始和やかに対談が進んだ。しかし、開始30分して看守が部屋を出て行った。
デイブは手錠をつけているとは殺人犯だ。その事実に気づいたロンは恐怖を感じ始めた。その様子を知ってか、デイブは自分は何もする気はないと言った。ロンはその言葉を鵜呑みにせず、デイブへの警戒を怠ることはなかった。そしてデイブは言った。
「自分は何もしない。信じて欲しい」
と。
看守が戻ったとき、ロンとデイブは対談を終えていた。60分という予定時刻を少し過ぎていたが、問題なく終わった。そしてロンは帰宅した。
その数日後、ロンは自宅の猟銃で一家を惨殺したあと、銃を持ったまま自宅近くのショッピングモールで乱射事件を起こしている。到着した警察官によりロンは射殺された。両親と妹の計3人と、ショッピングモールにて8人を殺害、計11人の死者と9人の負傷者を出す事件は瞬く間に全米を震撼させた。
この事件はすぐにマスコミによって報道され、犯人であるロンについて真面目で優秀な生徒であり、また家庭環境も良好でとても事件を起こすような人物でなかったと報道された。しかし、事件直前に死刑囚と面会していること、また数か月に渡り手紙のやり取りをしたことにより、死刑囚に何かしらの影響を与えられたのではと騒がれた。デイブに事情聴取を行うとしたが事態は急変する。デイブが急死したのだ。死因は心臓発作と公表された。
彼が死亡したのち、警察が当日のロンとデイブの面会の様子を監視カメラで確認したが、特に何も異常はなかった。看守が出て行ったあとも、二人は和やかに会話を続けていたという。しかし、看守が出て行った際にデイブが発した一言が物議を醸した。
「自分“は”何もしない。信じて欲しい」
デイブは供述のなかで、悪魔にそそのかされて事件を起こしたと供述したことから、ロンも悪魔により事件を起こしたのではないかと噂された。そして妙な映像がネットを騒がせた。ショッピングモールの監視カメラに映った猟銃を持って闊歩する青年が映し出されているのだが、その様子からその青年はロンと断定された。しかし、彼の顔は真っ赤な覆面を被ったようだった。事件を目撃した証言にはそのような事実はない。
さらに、事件を起こす前にロンが書き残したとされる遺書のようなものにはこう記されていたという。
“シリアルキラーは伝染する。悪魔は常に私たちを誘っている”
・・・と。
細かいことですが後者は大量殺人犯ではあるがシリアルキラーではない。どうせなら前者の秩序型と言われるやり方も踏襲すれば尚伝染の怖さは増すと思います。
勉強になります