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特別投稿

ねこじろうさんによる特別投稿にまつわる怖い話の投稿です

3人の意味不明な女
長編 2024/10/11 14:43 2,290view

それではお参りでもしましょうか?と、俺たちは本殿に向かって歩き始める。

並んでみて分かったのだが、彼女は相当背が高かった。

170センチの俺よりも軽く10センチは高い。

ヒールの高い靴を履いているとしても、かなり高いと思う。

そして彼女は無口だった。

というか本殿に着いてお参りをするまで、一度も口を開くことはなかった。

それは、神社を出て一緒に入った近くの喫茶店でも同じだった。

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奥まったところのテーブルに向かい合わせで座ったのだが喋るのは俺だけで、彼女は時折静かに頷くだけなのだ。

しかも店に入ってからも麦わら帽子をかぶったままだから見えるのはドギツイ赤のルージュをひいた唇、その下にあるややしゃくれた顎そして異様に細く長い首だけだ。

それとこれは向かい合ってから気づいたんだけど、彼女の方からだろうか、何というか腐った生ゴミのような臭いが時折鼻を掠める。

とうとう我慢出来ずに俺はこう言った。

「あの、俺と話すの、つまんないですか?」

彼女はしばらく俯いていたが、やがて静かに首を横に振るとコーヒーカップを口元に近づける。

カップを握る手はまるで老婆のようにか細くて幾重も筋が走っていた。

喫茶店には30分ほどいたのだが、結局最後まで加那さんが口を開くことはなかった。

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マッチングアプリで知り合った女との初デートは、これで終了した。

約1時間だったが、疲れだけが残ったという感じだった。

帰りの地下鉄の座席に座り正面に映る自分の姿を見ながら俺は、あの女とはもうこれきりだなと思っていた。

翌日仕事が終わり、マンションに帰るとしばらくして携帯が鳴った。

マッチングアプリのスタッフからだ。

アプリの会員には必ず一人担当のスタッフが付くことになっていて、交際に至るまであれこれアドバイスをしてくれることになっているのだ。

昨日の初デートのことも既に伝えていた。

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