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不思議体験

セイスケくんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

コンビニにあった不気味な木の板
短編 2024/10/07 08:20 451view

これは、ある夜のコンビニで起こった奇妙な話だ。

大学生の浩二は、夜勤のアルバイトをしていた。浩二は内向的で真面目な性格で、少し不安になりやすいところがあったが、自分の目標に向かって頑張る強さも持っていた。このアルバイトも、学費や生活費を稼ぐためにどうしても必要であり、彼はそのために少しの恐怖や不安には耐えようとしていた。浩二は学費や生活費を稼ぐためにこの仕事を選んでいて、大学では心理学を専攻していた。深夜の時間を利用して勉強することもあり、この仕事は彼にとって大事な収入源だった。ある夜、同僚が急に体調を崩してしまい、浩二は急きょシフトに入ることになった。そのコンビニは少し古くて、夜はあまり人が来ない場所にあった。でも給料が良かったので、浩二は引き受けることにした。

その夜、コンビニはとても静かだった。常連のお客さんも来なくて、店の中は冷たい空気で満たされていた。冷蔵ケースの機械音だけがかすかに聞こえ、蛍光灯の明かりが少しチカチカと点滅している。古い床からはかすかに湿った臭いが漂い、静けさの中にどこか不気味な感覚が広がっていた。深夜2時を過ぎたころ、浩二は店の一角に違和感を覚えた。いつもは見慣れた冷蔵ケースの横に、何か変なものが置かれていたのだ。

それは、小さな木の板で、埃をかぶっていた。そこには「焔摩羅陀羅羅根那」とだけ書かれていて、どう見ても数年前のものだった。誰が置いたのか、何のためにあるのか全くわからなかったので、浩二は気味悪く感じ、その板をバックヤードにしまった。

その瞬間から、何かがおかしくなった。店の空気が急に重たく感じられ、冷蔵ケースの中から灰色がかった湿った霧がゆっくりと漂い出してくるのが見えた。その霧は冷蔵ケースの中で渦を巻くように動きながら、徐々に店内に広がっていった。冷蔵ケースの扉が勝手に開き、飲み物が次々に倒れていった。驚きながらも、浩二は扉を閉めて、飲み物を元の場所に戻した。

しかし、その後もおかしなことは続いた。バックヤードから「ぺとん、ぺとん…」という音が聞こえてきた。その音は、水が落ちる音のようにも、何かが壁にぶつかる音のようにも聞こえた。浩二は怖かったが、思い切ってバックヤードへ向かった。そこには冷たい湿気が漂い、壁には黒い染みが広がっていた。その染みは、人の形に見えるような不気味なものであった。

怖さを感じながらも、浩二は店長に電話をかけ、状況を伝えた。店長は「大げさだな」と笑っていたが、一応確認しに来ることになった。店長が来るまでの間、浩二はレジに戻り、バックヤードを見ないようにしていた。しかし、「ぺとん、ぺとん…」という音はどんどん大きくなり、店全体に響いているようだった。

やがて店長が到着し、バックヤードを確認した。すると、店長は急に顔色が青ざめ、言葉を失った。そして震える声で言った。「この板、あの時の……」と。店長の話によると、その板は数年前にこのコンビニで働いていた田中さんという従業員が行方不明になったときに見つかったものだという。田中さんは真面目で、みんなから信頼されていたが、最後にバックヤードで作業をしている姿を見たのを最後に行方がわからなくなったのだ。警察も捜査したが、結局何もわからず、ただその板だけが残された。

店長は、その板を倉庫にしまって処分するつもりだったが、なぜかまた店内に戻ってきていた。それも、まるで誰かが意図的にそこに置いたかのような場所に現れていたのだ。しかも、板はいつも客や従業員の目に触れやすい場所に現れ、そのたびに奇妙な冷気を伴っていた。まるで何かが板を戻し、注意を引こうとしているかのようだった。「誰が置いたのか、何のために…」店長の声は震え、次第に小さくなっていった。

その後、板はまた取り除かれ、コンビニもお祓いを受けた。しかし、あの「ぺとん、ぺとん…」という音は完全には消えなかった。夜勤に入るたびに、浩二は微かにその音を聞くことがあった。それはまるで、行方不明になった田中さんがまだどこかにいて、この場所に囚われているような感じがした。時折、微かに彼の声が聞こえるような気がすることもあり、その声は助けを求めるかのように店内に響いていた。また、ふとした瞬間に背後に気配を感じ、誰かがじっと見ているような錯覚に襲われることもあった。

そして、バックヤードの壁に広がった黒い染み。その染みは不規則な形で、まるで人が両腕を広げているような輪郭を持っていた。染みの真ん中は特に濃く、周りに向かってだんだん薄くなっていた。それは、まるで何かがそこに押し付けられたかのような跡だった。その場所は今でも、誰も近づきたがらない場所になっている。みんなその存在を無視しようとするが、染みはまるで何かを伝えようとしているように、ずっとそこにあり続けているのだ…。まるで行方不明になった田中さんが何か重要なメッセージを残そうとしているかのように、その染みは意味深な存在感を放ち続けているのだった。

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